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財政審 診療報酬マイナス改定 薬価、調剤報酬引下げ分は本体振り替えず 調剤料に切り込み

公開日時 2015/11/02 03:52

財務省主計局は10月30日の財政制度等審議会財政制度分科会に16年4月実施の薬価・診療報酬改定について、薬価、調剤報酬引き下げ分を医科などの診療報酬に振り替えず、本体を引き下げる考えを示した。特に、調剤報酬については、「診療報酬本体とは別に、ゼロベースでの抜本的かつ構造的な見直しが必要」とした。かかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局の実現に向け、調剤技術料、調剤料について鋭く切り込む一方で、薬学管理料については要件を厳格化した上で重点配分する考えも示した。薬価については、後発医薬品の新規収載時の薬価のさらなる引き下げに加え、既存収載品についても2価格帯への集約、加重平均ではなく各価格帯の最低価格の採用などについて、16年度改定に向けて年末までに結論を得ることを盛り込んだ。


財務省は過去の賃金・物価との関係について過去10年間の推移を提示した。2004年度を100.0としたときに、2014年度に診療報酬本体は102.7、医療・看護師給与は105.2と上昇していたのに対し、民間給与と消費者物価の動向を医療費の費用構造(人件費:物件費)に応じて加重平均したものは98.8とマイナスに転じている。そのため、物価・賃金の動向に比較して、診療報酬は高止まりしている状況と指摘し、「一定程度のマイナス改定が必要と考えられる」と指摘した。


◎調剤料 投与日数や剤型にかかわらず定額を提案 現行の水準の1/2程度に


具体的に切り込む主な項目は、調剤報酬の引下げと、薬価・医薬品の引下げだ。


調剤報酬については、これまで医薬分業の推進を目的とした結果、調剤技術料、調剤料に重点的な配分となっていたおり、処方箋の受付と、いわゆる薬のピッキング業務のみで、相当程度の収益を稼ぐことが可能になったと財務省は指摘。こうした利益構造が門前薬局の林立や調剤医療費の増加を生んでいるとした。一方で、高齢化が進み、ポリファーマシー(多剤併用)も社会問題化する中で、服用薬の継続的・一元的な管理を行うかかりつけ薬剤師、かかりつけ薬局の重要性が増している。こうしたことを踏まえ、財務省では報酬体系を見直し、薬学管理料を手厚く評価する構造へと見直す。


特に鋭い切込みを入れる項目としてあげたのが調剤料だ。調剤料は約1兆円で、調剤基本料の約5600億円、薬学管理料は約3200億円と比べ、大きく上回っている。


現行の制度では、剤型や投与日数により段階的に引き上げられる仕組みとなっているが、財務省は調剤業務についてPTP包装が進んだことや全自動錠剤分包機の普及など技術進歩により、投与日数が伸びることが業務コストの増大にはつながらなくなったと指摘。院内処方では投与日数や剤型にかかわらず、一回の処方につき9点となっていることを引き合いに、投与日数や剤型にかかわらず定額とすることを提案した。激変緩和の観点から段階的な措置を行う考えで、16年度改定では、全体の水準を1/2程度に引き下げるとともに、投与日数に応じた伸びをゆるやかにする考えを示した。同様に、一包化加算についても作業の機械化が進んでいることから、一包化加算の点数を大幅に引き下げるとともに投与日数に応じた点数配分を見直すことを盛り込んだ。


一方、薬学管理料については、真に効果的に「継続的・一元的な管理指導を行っている薬局に限り高い点数が算定される」仕組みとする。これまで算定要件として、お薬手帳の記載があったが、薬歴の未記載問題や、お薬手帳を忘れた患者に対して何冊も手帳を発行するなど、算定要件を充足するためだけに走り、その意味が形骸化していたケースも少なくなかった。高齢化社会の中でポリファーマシー(多剤併用)も社会問題化する中で、算定要件を厳格化することで、かかりつけ薬剤師、薬局の役割を明確化する。



調剤基本料については、基準調剤加算の要件厳格化を求める。大型門前薬局を念頭に低い点数が設定されている「特例」の対象拡充や点数の引下げを求め、「処方箋受付回数1200回以上、集中率70%」の場合や、「処方箋受付回数2500回以上、集中率50%」の場合でも、現行の調剤基本料の最小値である18点まで引き下げることを提案した。あわせて、薬剤師の1日平均取扱い処方箋枚数(40枚/薬剤師1人)の緩和も検討する。基準調剤体制加算については、▽集中率要件の大幅な引き下げ、▽備蓄数などの算定要件の厳格化、▽24時間体制を電話番号の交付などではなく、実績で評価――など要件の見直しを行う必要性を指摘した。



後発医薬品調剤体制加算については、全体として加算水準を引き下げる仕組みを提案。後発医薬品数量シェア60%以上で8点、70%以上で12点とする一方で、60%未満の薬局については、10点の減算することを盛り込んだ(現行は65%以上:22点、55%以上:18点、55%未満:加減算なし)。



◎新薬創出加算実施は費用対効果の本格実施前提に



薬価については、薬価調査に基づき、市場価格を踏まえた適正化を求めた。そのほか、医薬品関連では、新薬創出・適応外薬解消等促進加算については、費用対効果評価の本格実施を前提に、真に有用な医薬品を評価する枠組みとして重点化すべきとした。


長らく市販品として定着したOTC類似医薬品については、保険収載から除外する具体的な品目について検討を進める。湿布(第一世代及び第二世代)を含む鎮痛消炎剤の除外、ビタミン剤およびうがい薬の例外条件の廃止を検討すべきとした。漢方は、検討項目から外れた。



 

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