厚労省医薬・生活衛生局は11月22日、重大な副作用が新たに確認された医療用薬について添付文書を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知で指示した。この中で痛風などに用いるアロプリノール（先発品名：ザイロリック錠、会社名：グラクソ・スミスクライン）により、劇症を含む１型糖尿病を発症し、ケトアシドーシスに至った例もされているとして「重大な副作用」の項に「薬剤性過敏症症候群」を追記、この中に注意事項を明記した。
改訂指示のあった薬剤と指示内容は以下のとおり（カッコ内は成分名、会社名）。
▽ザイロリック錠50、同錠100（アロプリノール、グラクソ・スミスクライン）他
指示概要：「重大な副作用」に「薬剤性過敏症症候群」を追記、「１型糖尿病」（劇症１型糖尿病を含む）を発症し、ケトアシドーシスに至った例も報告されている旨を明記。具体的には以下のとおり。
「初期症状として発疹、発熱がみられ、更にリンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現、肝機能障害等の臓器障害を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。また、１型糖尿病（劇症１型糖尿病を含む）を発症し、ケトアシドーシスに至った例も報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス６（HHV-6）等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化したり、脳炎等の中枢神経症状があらわれたりすることがあるので注意すること」。
過去３年の国内報告数（因果関係が否定できない例数）：１例（うち死亡なし）
薬効分類：394 痛風治療剤
▽プロマック顆粒15％、同D錠75（ポラプレジンク、ゼリア新薬）他
指示概要：「重大な副作用」に「銅欠乏症 」を追記。
過去３年の国内報告数（因果関係が否定できない例数）：８例（うち死亡なし）
薬効分類：232 消化性潰瘍用剤
▽ホルマリン
▽ホルマリン・クレゾー ル
▽クレゾール・ホルマリン・チョウジ油 ・酸化亜鉛
▽ホルマリン・グアヤコール
※製品名多数のため成分名のみ記述
指示概要：「禁忌」新設、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」を追記。
「重大な副作用」新設し、「ショック、アナフィラキシー」を追記。
※ホルマリンは「歯科領域の場合」において。
過去３年の国内報告数（因果関係が否定できない例数）：ホルマリン・クレゾールのみ１例（うち死亡なし）
薬効分類：
ホルマリン
261 外皮用殺菌消毒剤
それ以外
273 歯科用鎮痛鎮静剤
275 歯髄覆罩剤
▽ネシーナ錠6.25mg、同錠12.5mg、 同錠25 mg（アログリプチン安息香酸塩、武田薬品）
▽リオベル配合錠LD、同配合錠HD（アログリプチン安息香酸塩／ピオグリタゾン酸塩 、武田薬品）
▽トラゼンタ錠5mg（リナグリプチン、日本ベーリンガーインゲルハイム）
▽テネリア錠20mg（テネリグプチン臭化水素酸塩水和物、田辺三菱製薬）
▽イニシンク配合錠（アログリプチン安息香酸塩／メトホルミン塩酸塩、武田薬品）
指示概要：「重大な副作用」に「類天疱瘡」を追記。
過去３年の国内報告数（因果関係が否定できない例数）：
ネシーナ２例（うち死亡なし）
トラゼンタ10例（うち死亡なし）
テネリア７例（うち死亡なし）
他剤なし
薬効分類：396 糖尿病用剤
▽ゾメタ点滴静注4mg/5mL、同点滴静注4mg/100mL（ゾレドロン酸水和物、 ノバルティスファーマ）他
▽リクラスト点滴静注液5mg（同、旭化成ファーマ）
指示概要：「重大な副作用」の「急性腎不全、間質性腎炎」の項に「ファンコニー症候群」を追記。
過去３年の国内報告数（因果関係が否定できない例数）：ゾメタのみ７例（うち死亡なし）
薬効分類：399 他に分類されない代謝性医薬品
▽ファムビル錠250mg（ファムシクロビル、旭化成ファーマ）
指示概要：「重大な副作用」に「ショック、アナフィラキシー」を追記。
過去３年の国内報告数（因果関係が否定できない例数）：３例（うち死亡なし）
薬効分類：625 抗ウイルス剤
改訂指示関係資料はこちら（PMDAのHPへ）