第三世界の患者のためのクラウドファンディング
公開日時 2013/09/09 03:50
2年前、カンボジアに住む1歳の男児Chendaが左手にひどい火傷を負ったとき、高い治療費を支払うことができなかった母親は、なりふり構わずお金を乞うて歩いた。バス停に立ち、バスが来るたびに乗り込んでは乗客に子どもの治療費の請求書を見せ、誰彼かまわずお金を乞うた。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
コスタリカからピースコープのボランティアに来ていて、たまたまバスに乗り合わせたChase Adamは、乗客がほぼ1人残らず寄付するのを目の当たりにし、第三世界には医療のクラウドファンディングがいかに必要とされているかを実感。第三世界の患者の治療費調達に特化したクラウドファンディングのサイトをたちあげた。
サイトはもちろんNPO。名称の”Watsi”はChaseがChendaの母親に会ったカンボジアの村の名前である。最低5ドルから寄付することのできるサイトは、第三世界の患者への寄付に特化することで、小口寄付のインパクトを最大化するねらいだが、同時に、情報かの遅れている第三世界で行われている医療を世界に「見える化」し、治療と治療費を公開することで医療の質の向上に貢献することをめざすという。
残された課題は少なくない。なかでも最大の問題はサイトにアップされる患者情報の信憑性をどうやって評価するかだ。NPOを語る詐欺は世界中に横行している。銭の寄付さ画騙されないために、どういう手だてで守ることができるか?次の課題はサイトのセキュリティだろう。寄付者のクレジットカード等の金融情報が漏洩するようなことがあってはならないからだ。
このような課題を解決し、Watsi をさらに洗練されたサイトに育てるため、Chaseは、最近、シリコンバレーのインキュベーション・プログラム”Y-Combinator”に参加した。