米FDA 脂肪異栄養症治療薬メトレレプチンを承認
公開日時 2014/03/05 03:50
米食品医薬品局(FDA)は2月25日、先天性および後天性全身性リポジストロフィー(脂肪異栄養症)患者におけるレプチン欠損症の合併症に対する食事療法に加える補充療法として、注射剤・Myalept(一般名:メトレレプチン)を承認した。同剤は、遺伝子組み換えによるレプチンのアナログである。
先天性全身性リポジストロフィーの患者は、脂肪細胞を少しあるいは持たずに出生する。これに対し、後天性全身性リポジストロフィーは時間を経て脂肪細胞を喪失していく。食物の摂取やインスリンのようなホルモンを調整するレプチンは脂肪細胞によって産生されるため、全身性リポジストロフィー患者はレプチンの体内レベルが低い。そのため、しばしば若年期に重度のインスリン抵抗性の発現や管理困難な糖尿病、または膵臓の炎症を招来するような高トリグリセリド(TG)血症を発症する。
同剤の安全性・有効性は、糖尿病、高トリグリセリド血症を持ち、および/あるいは空腹時インスリン値が上昇している先天性および後天性全身性リポジストロフィー患者48例を対象とした非盲検単一群の臨床試験で検証された。
後天性全身性リポジストロフィー患者は、同剤の服用の有無にかかわらず、T細胞リンパの発症(複数)が報告されている。FDAは、医療関係者に血液異常がある患者あるいは後天性全身性リポジストロフィー患者に投与する場合には、同剤によるリスク・ベネフィットを慎重に考慮するよう呼びかけている。また、同剤は、一般的に肥満には禁忌であり、HIV関連リポジストロフィー患者もしくは全身性リポジストロフィーであると診断ができていない患者、糖尿病/高TG血症を含む代謝性疾患への適応は承認されていない。
Myaleptは、REMS(リスク評価・緩和計画)の実行ならびに処方せん発行時には患者向けメディケーションガイドの配布が義務付けられている。
FDAは、同剤について、販売業者の米Amylin Pharmaceuticals社(本社:カリフォルニア州サンディエゴ)に対して、長期前向き観察試験、免疫原性(抗体の形成)評価試験など7種類の市販後試験の実施と重篤なリスク発現の可能性について自発的報告の評価・分析などを求めている。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のMary Parks医薬品評価第2部次長は、「Myaleptは、先天性および後天性全身性リポジストロフィーを適応とした初の承認薬剤なので、この希少疾病を持つ患者にとって必要な治療選択肢を提供することになる」と同剤の登場を歓迎した。