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特殊ペプチド核に日本発の産業発展へ ペプチドリームが塩野義、積水化学と合弁会社設立

公開日時 2017/08/08 03:52

次世代創薬として期待される“特殊ペプチド”の合成技術を有する、ペプチドリーム(東京都目黒区)は8月7日、塩野義製薬、積水化学工業と3社の共同出資による合弁会社「ペプチスター」(大阪府摂津市)を設立すると発表した。設立は9月1日付で、特殊ペプチドの原薬を供給するCMO(医薬品製造受託機関)としてスタートし、将来的には製剤化も見据える。高額薬剤が世界的な課題となる中で、課題解決につながるイノベーションと経済性を兼ね備えた医薬品をオールジャパン体制で開発、生産し、産業として発展させる姿を描く。同日、神奈川県川崎市で会見に臨んだペプチドリームの窪田規一社長は、「日本で作られた技術、日本でスタートしたマーケットを製造の部分まで日本で完成させたい」と意欲をみせた。

特殊ペプチドは、特定の細胞・組織に結合力・選択性が高い。薬物を科学的に結合させることで、副作用を軽減し、選択制を高めた創薬が期待できる。分子量が、低分子と抗体医薬の中間に位置することなどから、中分子医薬品とも呼ばれる。細胞内標的を狙える一方で、製造コストは抗体医薬と比べて比較的安価だ。

会見の中で、「高額な薬剤は個人、医療経済への圧迫が大きい。リーズナブルな価格で効くものがあれば、それに越したことはない」(ペプチドリーム・窪田社長)、「先進国を中心に、医療費の問題が顕在化している。社会がこのまま高額薬剤を受容できるのかという問題意識をもっている。イノベーションを起こすが、経済性を含めて社会が受容できる医薬品を作りたい」(塩野義製薬・手代木功社長)と両社長は語った。高齢化に伴って、医療費が増大する中で、製薬産業がイノベーションだけでなく経済性を加味することの必要性に迫られる中で、課題を解決する切り札となることが期待されている。

◎塩野義製薬の高品質製造、積水化学の合成技術を集結

新会社は、ペプチドリームの有する合成技術を核に、塩野義製薬が薬事法やGMPなどの法令に則った高品質での医薬品製造やペプチド医薬品の創生、積水化学が効率的なペプチド合成技術など、ノウハウを集結する。さらに、大塚化学や島津製作所、日産化学など内資系9社がすでに提携することを決めているという。

抗体医薬などが技術や知財、設備投資など海外が日本を先行してきた。現在の国内市場は2兆5000億円を超える輸出超過の状況にあると窪田社長は指摘した。中分子創薬をめぐっても、ノバルティスファーマや米・メルクなど中分子創薬に力を入れる外資系企業が数多く参入し、ペプチドリームと共同研究・開発を進めている。

窪田社長は、「知財はすべて我々がもっている。今回の提携で、世界で初めて、コスト的にもリーズナブルで、早く作り上げられる技術を作り上げる。世界に負けないと確信している」と述べた。共同研究・開発を行う企業からは製造についての要望も多いと説明し、すでに需要があることも強調した。市場規模については、現在の医薬品市場が縮小しないと仮定した上で、「原薬製造の市場は全世界で約5兆円と言われている。そのうち、8割に当たる売上高4兆円を夢として語れる会社だと考えている」と述べた。

ペプチスターは、塩野義製薬の摂津工場内に本社と工場を置く。資本金は1憶5000万円。ペプチドリーム、塩野義、積水化学の3社が33.3%出資する。今後は増資を行い、20%まで比率を低下させる考えだ。工場の稼働は19年の7~9月の予定。 

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