積水化学 細胞接着ポリマーで再生医療関連分野に参入 細胞培養関連全体で100億円規模の事業に
公開日時 2025/07/01 04:50

積水化学は6月30日、iPS細胞など幹細胞の培養に用いる細胞接着ポリマー・Cegluを発売し、再生医療関連分野に参入すると発表した。Cegluは同社にとって初の再生医療関連製品で、今後の製品展開も含めて細胞培養関連全体で100億円規模の事業化を目指すという。同社の清水郁輔代表取締役専務執行役員は「細胞培養における大量製造という課題を先取りし、培った技術の掛け合わせで新たな価値を生み出し、先進医療に変革を起こしていく」と決意を述べた。
同社は中期経営計画で企業価値向上に向けた三つの取り組みの一つとして、「戦略的創造による成長加速」を掲げる。具体的には、「ライフサイエンス分野での新たな橋頭堡の確立」や「革新領域への進出」を掲げており、細胞培養を通じた再生医療関連事業への参入はその足掛かりとなる。清水氏は「今年度初めにライフサイエンス事業開発部を設立し、細胞培養資材事業を開始するとともに、革新領域での事業化を加速させていく」と強調した。
◎Ceglu 化学合成ポリマーと細胞接着分子をハイブリッド 均質性や安定性に強み

Cegluは、同社のモビリティ事業やエレクトロニクス事業で活用されている機能性樹脂材料技術を細胞培養に展開したもの。従来、足場材にはタンパク質が使われているが、均質性や安定性に課題があり、スケールアップが難しかった。Cegluは溶液化することでシャーレやフラスコ、不織布、マイクロキャリアなど様々な素材を均質にコーティングでき、安定性が高い。また、動物成分を含まないため安全性も高いという。
製品としては研究者向けにコーティング済みのマルチウェルプレートを展開。6月30日から6ウェルプレートの受注を開始し、創薬支援事業を展開する積水メディカル代理店を通じて販売を行う。秋にも96ウェル、100mmディッシュも上市を予定する。また、基材メーカーとの協業を通じて、様々な培養基材をコーティングして培養のスケールアップに貢献していくという。
年内にも欧米への海外展開も始める見通しで、同社の笠井正隆ライフサイエンス事業開発部長は「ラボスケールから製造スケールまで一貫した細胞接着表面プラットフォームを確立する。30年には同製品で50億円超の売上を目指していきたい」と意気込んだ。