Meiji Seika小林会長 新・コンソーシアム構想に「いま踏み出さない手はない」 7社22成分56品目統合へ
公開日時 2025/10/31 04:52

Meiji Seikaファルマの小林大吉郎代表取締役会長は本誌取材に応じ、“新・コンソーシアム構想”を通じ、7社で22成分56品目について品目統合に向けた検討を進めることに合意したことを明らかにした。小林会長は、「今回の結果が新・コンソーシアム構想に参画する企業が増えるトリガーになるのではないか」と期待を寄せる。国も後発医薬品製造基盤整備基金を造成するなど品目統合を後押しするなかで、「いま、踏み出さない手はない」と新・コンソーシアム構想への参加を広く呼びかける。「不退転の決意で進めようと思っている」と語る小林会長に話を聞いた。(望月英梨)
Monthlyミクス11月号(11月1日発行予定)では、巻頭特集「後発品業界再編 第1 章の幕開け 「品目統合」に動き出す企業の思惑」と題し、ジェネリック業界再編のカギを握るトップインタビューを企画しました。小林会長の一問一答も掲載します。
Meiji Seikaファルマは今年6月、ダイトと“新・コンソーシアム構想”実現に向けた協議を開始したと発表した。「必ずしも機能統合法人を設立することを目的とはしない」ことを明確に打ち出した。現在、Meiji Seika ファルマとダイトの2社に加えて、辰巳化学、日本ケミファなど参画している。
◎「業界全体で、取り組みを進めれば効率化がかなり進むのではないか」
“第一段階”として、生産効率向上を目指し、ダイトとMeiji Seikaファルマが幹事会社となり、品目統合に向けた議論を進めてきた。
協議の中間報告として、7社で合意して品目統合に向けて優先して協議を開始した品目が22成分56品目(25年10月時点)。中止代替(一方の製品の販売を中止し、もう一方の製品で代替供給する)が23品目で、製造販売承認を取得した58品目を35品目に集約する。また、それぞれで製造していた品目を一方の製造所に統合するのが33品目。26年以降、準備が整い次第、開始する。小林会長は、「業界全体で、取り組みを進めれば効率化がかなり進むのではないか」と述べ、取り組みの輪をさらに広げていく姿勢を強調する。
◎品目統合の中にはメイン品目も 「将来的に共有できる価値の方が大きい」
品目統合に向けた協議では、「それぞれの事業を紐解いて、今年度の収益も横睨みしながら、将来的に共有できる価値の方が大きいということをご理解いただくよう、他社との交渉を進めている。統合される品目の中には、継続して生産する観点から、メイン品目も含まれている」と話す。
同社にとっては、「自社のジェネリック事業を大きくするために取り組んでいるわけではなく、むしろジェネリック事業のアセットを切り出しても構わないと思っている」と表明。「これまでインドのメドライクで生産していた品目についても品目統合で製造を片寄せできる品目は、品目統合を進めようと決めた。ただ、損をしてまでやることはできないので、生産効率が収益に資するという経済合理性がある品目を選んでいる」と話した。ワクチンと抗菌薬を主要事業にしているからこそ、「ある程度腹をくくってジェネリック事業の再編をできる」とも話す。一方で、「ジェネリックビジネスしかやっていない企業も新・コンソーシアム構想に参画いただいているので、主要品目を統合されたら不安だという気持ちに寄り添う必要はあると思っている」と話した。
◎屋号統一「できるだけ早く実現したい」 川上の取組みだけでは「道半ば」
新・コンソーシアム構想では、「品目統合の次の段階として屋号統一を行い、さらにその先が見えてきたら機能統合法人として自然に集約していくという段階を踏む」と小林会長は話す。品目統合だけでは、真に生産性効率を向上させ、安定供給に資する体制を構築するのが難しいとの考えからだ。
特に、品目統合など「川上の取組みだけでは道半ば」として、「屋号統一など“川下”の取組みまで、できるだけ早く実現したい」と意欲をみせる。「屋号統一により、少量多品目の生産構造を解消することに加え、承認整理などを通じて薬価収載品目も効率化されることにつながる」と強調する。
◎「機能統合法人設立で初めて業界全体の後発品事業体の効率化が達成される」
ただ、あくまで最終段階として見据えるのは、機能統合法人を通じた効率化だ。「機能統合法人を立上げ、人材からマネジメントのすべてが効率化されることで、初めて業界全体の後発品事業体の効率化が達成される」と強調する。

「なぜ、後発品の安定供給ができないのか。少量多品目の生産構造という生産サイドの話だけでなく、それぞれの会社に分散した人材が非常に狭い範囲で働いていることに課題がある。品目は実際に多いが、それぞれ小口、かつ分散した状況で製造しており、各社とも何度も同じ失敗を繰り返している」と課題認識を口にする。原薬の調達やニトロソアミン類への対応など個社では対応が難しいケースも増えている。「技術も安定しておらず、原薬の品質評価もそれぞれ違う。生産サイドの知見が共有されていないので、同じような失敗を繰り返す」と指摘。「機能統合法人を作り、課題やマネジメントを共有するところから始めなければ、何年経っても課題を解決するのは難しい」と強調する。
現在は、「ダイトと我々が中心となって呼びかけをし、仲間を集めているところ」と小林会長。「我々は不退転の決意で進めようと思っている。ただ残念なのは、それでも主流は個社の生産目標や事業目的があって、個社主導の収益構造を優先させる考え方が大半を占めていることだ。まだまだ山を超えないといけないという覚悟がある」と力強く語った。