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安楽死を拒まれて

公開日時 2012/11/27 04:00

8月下旬、ロンドンの病院でひとりの男性患者が亡くなった。亡くなったのはTony NIcklinson氏、58歳で、脳出血に起因するLocked-in Syndrome(閉じ込め症候群)であった。7年間の闘病中に、安楽死の権利を裁判所に求めていたが、此れを認めないとの判決が出た後、あらゆる栄養補給の措置を拒否して、亡くなり、各方面に波紋を投げかけた。(医療ジャーナリスト・西村由美子)


閉じ込め症候群は、脳出血等によって引き起こされた麻痺のためにほとんどすべての運動機能が失われ、患者は、明瞭な意識があり知的活動ができるにもかかわらず、 あたかも自らの(動かない)身体のなかに「閉じ込め」られてしまったかのような状況になることをいう。NIcklinson氏の場合は、わずかに両まぶたが動かせるだけであったという。


閉じ込め症候群が世に知られるようになったきっかけはジャン・ドミニク・ボビーの著書「潜水服と蝶(邦訳:潜水服は蝶の夢を見る)」とこれに基づく同名の映画である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/潜水服は蝶の夢を見る


ファッション誌の編集長であったジャンは運転中に脳出血に襲われ、意識が戻った時には全身麻痺、わずかに片目のまぶたを開閉できるだけという閉じ込め症候群であった。わずかに動くまぶたで瞬きをくりかえすことでアルファベットを指示し、介護者の協力を得て、閉じ込められた彼の内面と体験を克明に描ききった著書を発表して医療界の内外にセンセーションを巻き起こした。ジャンは著書が発売されると同時に(1997年)に合併症で亡くなっている。映画は2007年にカンヌ映画際で発表された。                                      

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