中医協・調査実施小委 医業収入頭打ちで収支差縮小
公開日時 2003/11/26 23:00
厚生労働省は11月26日、03年6月実施の医療経済実態調査(速報)を発表した。
2年前(01年6月)の前回調査と比べ、一般病院は医業費用の伸びが収入の伸
びに追いつかず、赤字幅を拡大させた。一般診療所は医業収入のマイナス幅が
医業費用のそれを凌ぎ、収益を低下させた。前回調査と客体が比較的似通って
いるとみられる一般診療所(個人、無床)は、医業収入が8.7%低下、医業費
用が8.4%低下。1施設当たり収支242万7000円が22万9000円(9.4%)減収し2
19万8000円になった。費用のうち医薬品費は127万2000円から3万4000円(2.7%
)減少し123万8000円になった。同日の中医協・調査実施小委員会で報告され
た。
一般病院全体は、1施設当たり医業収入が42.4%増加したが、医業費用の伸び
は42.7%でそれを上回った。ただ、費用の伸びで大きいのは、原価償却費(68.
7%)など。給与費(40.2%)、医薬品費(36.8%)は、医業収入や医業費用
全体の伸びより低めの数字。これらの結果、赤字が493万1000円から788万4000
円に拡大した。
一方、一般診療所全体では、医業収入が8.0%減少したが、医業費用は5.9%し
か抑えられなかった。給与費が8.1%低下しており、減収による人件費へのし
わ寄せが裏付けられたほか、医薬品費が8.0%低下している。これらで収支は2
40万8000円から34万7000円(14.4%)減少し206万1000円になった。
調査は1886病院、2566一般診療所、1197保険薬局に調査票を送付。病院1050
(55.7%)、一般診療所1161(45.2%)、保険薬局700(58.5%)の回答を「
速報値」としてまとめた。診療側委員の青柳俊日本医師会副会長は、「大病院
の回答が多いなど客体に偏りがあり、全体ではさらに厳しい数字が出るはず」
と述べた一方で、支払い側委員の対馬忠明健康保険組合連合会常務理事は、
「6月分は今年4月の法改正のマイナス影響が残り、7月以降改善の要素があ
る」とした。