日医・松本会長 26年度診療報酬改定「インフレ下で道しるべとなる重要な改定」 賃金・物価財源は別枠
公開日時 2025/12/25 05:50

日本医師会の松本吉郎会長は12月24日の定例会見で、2026年度診療報酬改定をめぐる大臣折衝での合意を踏まえ、「インフレ下で今後の道しるべとなる極めて重要な診療報酬改定となった」との認識を示した。賃金・物価が上昇する中で、「公定価格で運営されている医療・介護分野は賃金・物価上昇を価格に転嫁することができず、経営状況が著しく逼迫している」と説明。通常改定とは別枠で、賃金・物価対応の財源が確保された意義を強調した。26年度診療報酬本体の改定率がプラス3.09%と決定したことから、「政府・与党をはじめ、多くの関係者に医療機関の厳しい経営実態をご理解いただけたものと実感し、深く感謝している」と語った。
◎「全体としてプラス改定だったことが非常に前向き」 病院・診療所の経営状況踏まえた配分
松本会長は、診療報酬の改定率について、「高市総理をはじめ、政府与党においては色々な制約のある中で精一杯のご理解をいただいた。その対応に深く感謝している」と語った。改定率は26年度2.41%、27年度3.77%と改定率は初めて階段状とされた。松本会長は、「これまでは 2年目の対応が非常にわかりにくかったが明確にされたということは非常に良かった」と歓迎した。
財源は病院に重点配分されることになるが、「全体でプラス改定だったということは、非常に前向きに捉えている。決して診療所もマイナス改定にはなっていない」と説明。「病院と診療所、病院の中でも担う医療機能に応じた配分となっている。もう少し細かな配分も考えていると思うが、病院や診療所などの経営状況ある程度勘案した形での配分になった」との見方を示した。
「診療報酬だけではなく、税制、補助金、支援金、さらには文科科学省からの大学病院への運営費交付金及び私学助成金など、あらゆる手段もフル活用して国民の生命と健康を守るため、日本医師会は総力上げて取り組んでいく」との決意も改めて示した。
◎OTC類似薬の保険給付見直し 要配慮者の負担増に「慎重な対応を」
自民・維新の与党政調会長会談で合意され、大臣折衝の合意事項に盛り込まれたOTC類似薬の保険給付の見直しにも言及した。77成分約1100品目を対象に、薬剤費の1/4を特別な料金として求める新たな制度が創設される。松本会長は、「日本医会として強く反対していた保険適用除外は行われなかったが、保険適用内とは言え、一定の患者さんの自己負担増が発生することは間違いない。お子さんや難病など、配慮が必要な方には慎重な対応が必要と思っている」とも話した。