エーザイ 08年はグローバル4品の承認を最優先、16年に売上1.5兆円
公開日時 2008/03/03 23:00
エーザイの内藤晴夫社長は3月3日の記者懇談会で、次期中期計画(12-16年
度)の成長目標として売上高1.5兆円、ROE20%以上を目指すと発表した。また、
中期戦略計画(Dramatic Leap Plan=DLP、06-11年度)の3年目にあたる08
年度は、グローバル4品目「E7389」(抗がん剤)、「E5564」(重症敗血症治
療薬)、「E2007」(抗パーキンソン病薬)、アリセプトの適応追加、新剤型
の承認取得に向けて、社の総力を挙げて最優先で取り組むことを強調した。米
国事業は低分子薬と生物製剤の研究から販売までを手がける「ファーマバイオ
企業」への転換を図る。
内藤社長はDLPの2年目にあたる07年度の成果として、▽世界本社構想(日、
米、欧、中、アジア・大洋州・中東の5リージョン体制の骨格が完成)▽研究
開発戦略▽オンコロジー戦略▽インディペンデント・マーケティング(Global
Medical&Marketing Serviceを米国に設置)▽トランスフォーメーション戦略
(インドに原薬研究・生産会社を設立)▽グローバルヒューマンリソース戦略
――の6つの戦略の骨格がほぼ完成したと評価。米MGIファーマの買収や日本
市場の売上拡大(11年度売上予想を3600億円から4200億円に上方修正)により、
11年度売上目標として掲げた米国売上目標4400億円、連結売上高1兆円、ROE1
6%の達成が視野に入ったと述べた。
一方、米国事業は11年度までに▽2桁成長維持▽オンコロジー領域でプレゼン
スの向上▽インディペンデント・マーケティングの強化――を目標に掲げた。
08年度はアロキシ(承認済、術後悪心・嘔吐予防)、アクアバン(申請中、簡
便な診断・治療の際の鎮静)、ルフィナマイド(申請中、レノックスガストー
症候群・成人の部分てんかん)、アロキシ経口剤(申請中、がん化学療法によ
る悪心・嘔吐)など重点領域での新製品の発売が目白押しの予定で、「忙しい
年になる」とした。
米国統括会社Eisai Corporation of North Americaのロネル・コーチ社長兼CO
Oは、抗体医薬の開発を専門とする米モルフォテック社とMGIの買収で、米国事
業はシームレスバリューチェーン(研究、開発、生産、物流、マーケティング、
市販後)が強化されたと説明。低分子薬と生物製剤をともに手がける研究から
販売までの高度なバリューチェーンを保有するファーマバイオ企業へ転換を図
るとした。
アリセプトやアシフェックスといった成熟期製品から再び成長製品と成長分野
(がん/インスティチューショナル、アルツハイマー病「E2012」、新規抗血
小板剤「E5555」)にシフトし、オンコロジストや血液専門家、精神科医、救
急医療スペシャリストに対するプレゼンスの向上を目指す方針だ。
オンコロジー&インスティテューショナルケアは約400人(MRは約280人)、ス
ペシャリティ&プライマリーケアは約800人(MRは約640人)と約1000人弱のM
Rを抱え、競争力の高い販売体制を構築した。