メーカー公取協・杉山専務理事 規約違反「警告」以上で社名公表 「前例にとらわれない時宜に適った事案処理行う」
公開日時 2026/06/01 04:53

医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(メーカー公取協)の杉山幸成専務理事は5月29日の通常総会後の記者会見で、規約違反に該当し、「警告」以上の処分となった場合は、企業名を公表する方針を示した。警告以上の違反事案では、記者会見やメディアセミナーも随時開催し、メーカー公取協の立場や対応方針を明確に発信すると説明した。杉山専務理事は、「調査委員会における前例にとらわれない時宜に適った事案処理を行う」とし、「前例に従えば指導で終わらせたものもあったかもしれないが、それにとらわれず警告をやる場合もある」と述べた。
◎全国8支部廃止 これまでの水平的な相互牽制型から垂直的遵守体制に転換
メーカー公取協は組織体制を大きく見直した。長年続いてきた全国8つの支部を25年度末に廃止。これまでの支部活動による地域を中心とした「水平的な相互牽制型」のモデルから、本部機能を中核とし会員会社内部のガバナンスと連動した「垂直的遵守体制」に転換する。支部が担ってきた相談対応、規約違反の調査・処理といった“基本的機能”については、「AIの活用や外部リソースの導入も視野に入れ、持続可能かつ効率的な運営体制」を構築するとしている。
新体制に伴い、内部プレゼンスや外部プレゼンスをそれぞれ強化する。外部プレゼンス強化の中で「メディア対応の充実強化」を掲げ、公正競争規約の改定時や警告以上の違反事案があった場合に記者会見などを開く。また、医療関係団体などへの説明を通じ、医療機関向けの広報も強化する。内部向けでは、常任運営委員や運営委員以外の一般会員会社に対し、月1回のウェブ連絡会や、毎年東京と大阪で行う懇談会を継続。本部運営委員会での議論を開示するなどして、ルール改定などの趣旨や背景についての理解を深められるようにし、早期の準備ができるようにする。
◎25年度 是正・改善要請は1件 自浄作用の表れ「自主的改善報告」は3倍増
25年度の規約違反事案及び規約違反被疑事案については、是正・改善要請が1件となった。社内研修会の講師役の医師に、慰労を目的とした飲食の提供において、一人当たり2万円を超えるなどの違反を確認した。杉山専務理事は、26年4月1日以降の新ルールに照らせば明白な規約違反になることから、「仮に現時点で同様の行為が行われた場合にはより厳しい措置も想定されることから、あえてこの場で注意喚起の意味を込めて紹介させていただく」と呼び掛けた。
2012年以来の見直しとなった飲食・食事等の提供に関するルールは4月1日以降、自社医薬品の講演会や調査・研究委託に関する懇親行事について、提供する飲酒を伴う「飲食」の上限金額を2万円と明記。社内研修会の講師に対する慰労会は、着席での飲食提供が許容されないことになった(記事は
こちら)。なお、旧ルールでは、社内研修会の講師に対する慰労目的の着席での飲食提供は1万円を超えない範囲で認められていた。
このほか、「自主的改善報告」(会員企業が自ら違反を発見し、改善案とともに報告した事案)については、事案発生時の「概要報告」を提出させることを制度化。その後改善措置まで含めた報告を行うことで免責となる。25年度は自主的改善報告の件数が24年度の約3倍に増加したが、この状況に杉山専務理事は、「会員各社において自ら違反を発見して改善措置を施すことが多くなっているということは、各社における自浄作用が有効に機能しているという意味で大変好ましい状況だ」と評価した。