水野杏一・日本医科大教授 「MEGA Study」のサブ解析結果発表
公開日時 2008/03/05 23:00
日本医科大学の水野杏一教授(内科学講座)は、3月4日の第一三共メディア
ワークショップで講演し、高脂血症治療薬メバロチンを用いた心筋梗塞をはじ
めとする冠動脈疾患(CHD)の発症抑制を目的とした大規模臨床試験「MEGA St
udy」のサブ解析の結果を発表。女性に対する食事療法とメバロチンの併用でC
HDの発症抑制のみならず総死亡率を減少させ、高齢になるほど高い効果が得ら
れたと報告した。
MEGA Studyは05年11月の米国心臓協会(AHA)で発表された日本人を対象とし
た高脂血症治療薬によるCHDの一次予防を目的とした初の大規模臨床試験(対
象患者は約8000人)。今回公表されたサブ解析では、MEGA Studyに参加した患
者のうち女性のみ5356人(平均年齢59.7歳)を抽出。食事療法のみの患者(27
18例)と食事療法にメバロチンを併用した患者(2638例)を5年追跡し、CHD
などの発症抑制効果を比較した。
その結果、メバロチン併用群では総死亡率を4割減少させるとともに、CHDの
発症リスクを25%低下させ、心筋梗塞35%、脳卒中37%、冠動脈疾患+脳梗塞
26%、総死亡率41%と全てのイベントの発症率を抑制した。水野氏はMEGA Stu
dyがスタチンの予防試験の中でも女性患者の割合が70%と最も多く、今回の女
性患者のみを対象にしたサブ解析の意義は大きいと説明。「メバロチンが女性
の脳卒中の発症を抑制したことは重要」とコメントした。
また、帝京大学医学部の寺本民生教授(内科学)は「総死亡を抑制することは
(試験の)ひとつの目的。減少傾向が示されたことは極めて重要」と評価した。