東京医科大・山科章主任教授 特定健診・特定保健指導の効果を疑問視
公開日時 2008/03/05 23:00
東京医科大学の山科章主任教授(内科学第二講座)は3月4日の日本心臓財団
主催のメディアワークショップで講演。メタボリックシンドローム(以下、メ
タボ)に着目した生活習慣病の発症予防を目的に、4月から40~74歳の健康保
険加入者(被扶養者を含む)を対象に義務化される特定健診・特定保健指導に
ついて、「人とお金をかけて、どれだけ効果があるか疑問」と批判した。
山科氏は特定健診の問題として、▽医療費が減少するという実証・研究はない
▽高い受診率は期待できない▽指導による行動変容は期待できない▽治療の必
要性が乏しい患者までも掘り起こす▽医療費の増大につながることが予想され
る▽ほかの重要な病態を見落としたり、対策ができなくなる――などの持論を
展開。また、「保健指導は年齢によって制限があり、ハイリスクの65歳以上を
手厚く扱わないことが問題」とも話し、「生活習慣病が減少し、中長期的に医
療費の増大を抑制する」という厚労省の言い分に異議を唱えた。
秋田県立脳血管研究センターの鈴木一夫部長(疫学研究部)は、脳卒中は医療
経済的視点から最も大きな社会的負担を強いている疾患と主張。「メタボの診
断基準は肥満であることが絶対条件。高血圧とは異なり、肥満は弱い危険因子
で、メタボ健診はもっぱら肥満者を選び出し、脳卒中予防のわずかの部分しか
カバーできない」と述べ、国民の健康増進の政策として的外れになると指摘し
た。