大日本住友・多田次期社長 アムロジン防衛と国際戦略品上市が課題
公開日時 2008/03/31 23:00
大日本住友製薬の次期社長に就任が内定した多田正世副社長は3月28日に会見
し、「国内外に軸足を置き、研究開発型のグローバル企業になるという理念の
実現に向けてマイルストーンをしっかり刻んでいく。企業はやはりヒト。人材
の育成や活性化に意を注ぎ、変革を当然のこととしてやれる勇気と熱意のある
強い社員を育てていきたい」と抱負を語った。当面の経営課題として、3月に
特許が切れるCa拮抗剤アムロジンの防衛を軸にした国内基盤の強化に加え、米
国自販第1号となる統合失調症治療薬ルラシドン(一般名)の12年の上市の実
現を挙げた。
会見で宮武健次郎社長は、この時期に社長を退く理由について「今年10月で統
合新社がスタートして3年になり、区切りのとき。また、海外展開もルラシド
ンの治験が順調に進み、タイミングとしてよい」と説明。多田氏を後任に選ん
だ理由は「思考力、判断力、傾聴力に実に長けた人で、私の持っていないもの
を持っている。我が社の課題はグローバル化が最大のテーマだが、それに対応
できる人物」と評した。
多田氏は住友化学の農薬部門在籍中に、武田薬品の農薬事業や米アボット社の
生物農薬部門など国内外企業の数多くのM&Aを手がけた。
多田氏は最大の課題である海外進出の課題について「ルラシドンは12年頃が上
市のタイミング。11年頃から競合品の特許が切れ、後発品で出てくる厳しい中
での上市になる」としながらも、「先行品との差別化のための治験を組み込ん
でおり、それを含めて順調に進んでいる」と自信を示した。その後の国際戦略
品についても「ルラシドンを突破口にして、今年秋口までには2品目めを決め
ていきたい」と意気込みを示した。
国内事業については「アムロジンの防衛と併せて、今年上市を予定する統合失
調症治療薬ロナセンとARBアバプロで攻めていく局面にある」と強調。再編の
方針に関しては「(買収する企業に)リーダーや従業員がどれだけの人物かが
基本。M&Aは選択肢のひとつと考えている」と意欲を示した。