【速報その2】全長期収載品2%引下げ 維持特例は10年4月から試行実施の方向
公開日時 2009/12/02 13:00
中医協薬価専門部会が12月2日に開かれ、業界が提案している特許期間中の新薬の薬価改定を猶予する「薬価維持特例」を2010年4月の次期薬価改定から2年間、試行的に実施することに積極的な反対意見はなく、次回以降、制度の詳細を詰めることになった。これまでそもそも論に終始したが、大きく前進したことになる。ただ、厚労省の試算によると、維持特例導入で薬剤費が830億円膨らむため、現段階では、全ての長期収載品を一律2%引き下げる内容となっている。2%引き下げによる財政効果は530億円。これでも薬剤費は差引き300億円膨らむため、診療側、支払い側とも、この日の部会で更なる薬剤費圧縮の手法を求め、次回以降に持ち越した。
これまで維持特例導入に慎重な姿勢を示していた診療側の安達委員(京都府医師会副会長)は会合後、本誌取材に、外資系企業を含めて新薬開発を日本でも積極的に取り組んでもらう必要があるとの認識を示したものの、「なぜ今なのかとの思いはある。医療崩壊、医療保険財政が厳しい中で(10年4月に)試行的でも実施することには疑問」と語った。
なお、厚労省はこの日の部会に、薬価調査による平均乖離率8.4%によって約5000億円の薬剤費圧縮になると説明した。ただ、維持特例関係で薬剤費が約300億円、不採算品再算定で約300億円それぞれ膨らむ一方、初めて後発品が上市された先発品の特例引き下げで約400億円の財政圧縮効果を見込めるため、最終的に薬剤費全体では約4800億円(薬価ベース▲約6.2%)の削減額になるとした。
