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ACCORD Lipid試験 フェノフィブラート+スタチンとスタチン単剤で有効性・安全性に有意差なし

公開日時 2010/03/15 00:10

2型糖尿病患者に対するスタチン+フェノフィブラートの併用は、スタチン単剤の治療と比べて、有効性・安全性に有意差がないことが分かった。フェノフィブラートのスタチンへの上乗せ効果をスタチン単剤と直接比較した初めての試験「ACCORD Lipid」試験の結果から分かった。コロンビア大のHenry N.Ginsberg教授が3月14日、第59回米国心臓学会議(ACC.10)のLate-Breaking Clinical Trialsで報告した。

(3月14日 米国・アトランタ発 望月英梨)


試験は、スタチンとフィブラート系薬剤の併用することで、スタチン単剤を用いた治療と比べて、心血管イベントの発症を抑制できるか検討することが目的。対象は、冠動脈疾患の高リスク患者(症候性・無症候性の冠動脈疾患の合併、2つ以上の心血管イベント発症リスク)な持続性2型糖尿病患者5518人。①40歳以上で症候性の冠動脈疾患の既往、または55歳以上②60mg/dL<LDL-C<180mg/dL、HDL-C<55mg/dL(女性、黒人)、<50mg/dL(男性、白人)、TG<750mg/dL(無治療)、<400mg/dL(治療下)――なども条件とした。


全例にシンバスタチン20~40mg/日を投与した上で、①フェノフィブラート54~160mg/日投与群2765人②プラセボ群2753人――の2群に分けて薬剤を上乗せし、治療効果を比較した。試験は、米国とカナダの77施設で実施。主要評価項目は、最初に起きた非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈疾患による死亡の発症率。平均追跡期間は4.7年間。


その結果、主要評価項目の発症率は、フェノフィブラート群では2.2%/年だったのに対し、プラセボ群では2.4%/年で、2群間に有意差は見られなかった(ハザード比:0.92(95%CI:0.79~1.08)、P値=0.32)。年間死亡率も、フェノフィブラート群で1.5%、プラセボ群では1.6%で、2群間に有意差はみられなかった。


なお、LDL-Cについては、両群ともにベースライン時より有意な低下はみられなかったが、フェノフィブラート群では、HDL-Cの有意な上昇(P値<0.001)、総コレステロール(P値<0.001)、トリグリセライド(TG、P値<0.001)の有意な低下が見られている。


安全性についてはクレアチニンキナーゼが10倍以上に上昇した症例は、フェノフィブラート群で10人(0.4%)、プラセボ群で9人(0.3%)で有意差がみられなかったほか、2群間で大きな差はみられなかった。


◎サブ解析で高TG、低HDL-C患者で有効性も


サブ解析の結果では、男女の性差により併用療法に対する治療反応性が異なることも浮き彫りとなり、男性では効果が得られるが、女性では効果が得られない可能性も示唆された。


高TG低HDL-Cの患者(TG≧204mg/dL、HDL-C≦34mg/dL)に絞って治療効果をみると、フェノフィブラート群では12.37%(485人)、プラセボ群で17.32%(456人)で、フェノフィブラート群で心血管イベントの発症を抑制する傾向がみられた(P値=0.0567)。


試験結果を報告したGinsberg教授は、「この結果は、HDL-CとTGが正常範囲内に近い大半の2型糖尿病患者に対する心血管イベントの発症抑制効果を目指したフェノフィブラート+シンバスタチンの投与を支持しない」とコメント。ただ、サブ解析の結果から「性差やはっきりした脂質異常症の存在がある場合の併用療法についてはさらなる検討が必要」との見解も示した。


なお、同試験の結果は同日付の「The New ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」のオンライン版に掲載された。

 

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