武田薬品のナルコレプシータイプ1治療薬・オーゼイフルなど新薬5製品を審議へ 8月3日の第一部会で
公開日時 2026/07/21 04:48
厚生労働省は8月3日に薬事審議会・医薬品第一部会を開き、武田薬品のナルコレプシータイプ1治療薬・オーゼイフル錠(一般名:オベポレクストン)など新薬5製品の承認の可否を審議する。オーゼイフルは、新規作用機序の選択的オレキシン2受容体作動薬であり、ナルコレプシータイプ1の病因と考えられる欠乏する脳内オレキシンのシグナル伝達を活性化する。既存薬に比べて有効性の大幅な改善が見込まれ、厚労省から先駆的医薬品に指定されている。
このほか、新有効成分含有医薬品では、リズムファーマの脳の視床下部の損傷に起因する肥満(後天性視床下部性肥満)に用いるメラノコルチン-4受容体作動薬・イムシブリー皮下注(セトメラノチド酢酸塩)が審議予定となっている。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽ブフェニール錠500mg、同顆粒94%(フェニル酪酸ナトリウム、オーファンパシフィック):「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症1型及び2型」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
フェニル酢酸のプロドラッグ。2012年9月に尿素サイクル異常症(UCD)の適応で承認されており、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)はそれに続く。
対象疾患とするPFICは、常染色体潜性遺伝形式の肝内胆汁うっ滞症であり、胆汁うっ滞により、強い掻痒感や、それに伴う睡眠障害、QOLの低下を呈し、肝不全に進行する。国内では、リブマーリ内用液がPFICの適応を持っている。
▽①ステラーラ点滴静注130mg、②同皮下注45mgシリンジ、③同皮下注45mgバイアル(ウステキヌマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「①中等症から重症の活動期クローン病の導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)、②③中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を対象疾患とする①②新用量医薬品、③新用量・剤形追加に係る医薬品。希少疾病用医薬品。
抗IL-12/23p40抗体。現在、クローン病(CD)の導入療法及び維持療法について、成人の用法・用量が設定されており、今回、小児用量を追加するもの。皮下注45mgバイアルは剤形追加。
対象疾患とする小児CDは、診断時の病変範囲が成人より広範かつ重症で、肛門病変も合併することがあり、小児期特有の成長障害や心理社会的側面への配慮が必要とされているという。
▽エムパベリ皮下注1080mg(ペグセタコプラン、Swedish Orphan Biovitrum Japan):「C3腎症、一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
補体(C3)阻害剤。23年3月に発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の適応で承認されており、C3腎症及び一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)はそれに続く。
C3腎症は、後天性自己免疫抗体又は遺伝的変異により、補体第二経路の制御異常及び過剰活性化が生じ、補体第3成分(C3)などの補体蛋白が腎臓の糸球体に蓄積することで惹起される慢性糸球体腎炎。C3腎症及び一次性IC-MPGNは関連する疾患で、血尿、蛋白尿、ネフローゼ症候群などが生じる。国内では、補体B因子阻害剤・ファビハルタカプセルがC3腎症の適応を持っている。
▽イムシブリー皮下注10mg(セトメラノチド酢酸塩、リズムファーマ):「後天性視床下部性肥満」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
メラノコルチン-4受容体作動薬。対象疾患とする後天性視床下部性肥満(後天性HO)は、視床下部の損傷後8~12年間に著しい体重増加を来す難治性の肥満を呈し、2型糖尿病やメタボリックシンドローム、アテローム硬化性心疾患を合併する。後天性HOの原因は、視床下部性腫瘍及びその治療であり、国内患者数は、約5000人~1万2000人と推計されている。
一般的な肥満症の治療薬としてウゴービやゼップバウンドなどがあるが、イムシブリーが承認されると、後天性HOの適応を持つ国内初の治療薬となる。海外でイムシブリーは、26年3月に米国で、同年5月に欧州で後天性HOの適応を取得している。
▽オーゼイフル錠0.5mg、同錠1mg、同錠2mg(オベポレクストン、武田薬品):「ナルコレプシータイプ1」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。先駆的医薬品。
選択的オレキシン2受容体作動薬。対象疾患とするナルコレプシータイプ1は、日中の過度の眠気及び情動脱力発作を中核症状とする重篤な睡眠障害。根治治療はなく、失職や交通事故のリスクがあるなど、日常生活のみならず、社会活動に与える影響は大きく、生活の質を著しく低下させる。国内患者数は2.4~3.6万人程度と推定されている。
ナルコレプシーの日中の過度の眠気に対してはモディオダール錠やリタリン錠、ベタナミン錠、情動脱力発作に対してはアナフラニール錠が用いられるが、いずれも個々の症状に対する対症療法であり、病態機序に直接作用する治療薬は現時点で承認されていない。
オーゼイフルは、ナルコレプシータイプ1の病因と考えられる欠乏する脳内オレキシンのシグナル伝達を活性化することにより、日中の過度な眠気、情動脱力発作のいずれも改善することが期待されている。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽①ボトックスビスタ注用50単位、②同注用100単位(A型ボツリヌス毒素、アッヴィ):「65歳未満の成人における咬筋膨隆」を対象疾患とする①新効能・新用量医薬品、②新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。
神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を阻害することにより筋弛緩作用を示す神経毒素。「65歳未満の成人における眉間又は目尻の表情皺」の適応を持っており、それに続く。注用100単位は剤形追加。