米国のEHR（ElectronicHealthRecord）の推進はヨーロッパやカナダ、オーストラリアに比べると大きく出遅れた。90年代後半から政府や大学、軍が連携し研究開発プロジェクトが推進されるようになったが、事実上、本格的に取り組みが顕在化したのは2004年ブッシュ大統領の年頭教書発表以降である。この教書で大統領は、医療のIT化により医療過誤や医療コストを削減し、医療ケアの質改善を試みるとし、その3ヵ月後、10年以内に全国民が誰でも使える相互運用可能なEHRを構築すると宣言した。これ以降EHRプロジェクトは急速に推進されてきた。オバマ政権では、ブッシュ政権が築いた医療ITの基盤をさらに拡充するためドラスティックな推進計画が実施されている。特にEHRを導入した病院や医師に対し償還するとし...