重篤副作用の情報提供 強化すべきが38%も「増えすぎると重要情報埋もれる」の声も
公開日時 2010/09/01 04:01
医師限定コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアはこのほど、「重篤副作用の製薬メーカーによる情報提供は適切かどうか」との調査結果を発表した。「情報提供を強化すべき」との回答が38%と最も多かったものの、次いで「現状で十分」が30%となった。医師の自由コメントを見ると、全体的にはMRによる告知への期待が高く、単なる文書での告知よりもわかりやすく記憶に残りやすいようだ。しかし、MR活動にはメーカーによって頻度やレベルにバラツキがあるため、厚労省や第三者機関からの情報提供の充実や新たなシステム構築に期待する声も寄せられた。MedPeerの会員医師は約3万人。
調査は8月4日~17日に実施した。有効回答数は1609件。「情報提供を強化すべき」は620件、「現状で十分」は478件、「情報提供する適切なシステムを構築する必要がある」が336件、その他が174件――だった。
強化すべきと回答した医師からは、「悪い情報ほど的確な提供を求める。早く患者さんを正しい方向に導くために必要」(30代、麻酔科)、「重篤な副作用はせめてMRの方で力を入れて情報提供してほしい。単なる厚労省からの通達やメールだけでは注意して見ないことが多く、直接情報提供してもらった方が助かる」(50代、脳神経外科)、「文書の郵送でなくMRから直接話を聞きたい」――などとMRによる情報提供を求める声があがった。
その一方で、「MRはよく薬を使う一部の医師にはよく情報提供しているが、使用頻度の少ない医師に対する情報提供は全く行っていない」(50代、一般内科)、「重要な情報はその薬剤を処方し得る全ての医師に確実に伝わるようにしてほしい」(30代、代謝・内分泌科)、「重大な副作用報告が遅い印象がずっとある。かえってメディアが先に発表し、後付けで報告が来るようなこともある」(40代、循環器内科)などと不満のコメントも見られた。
「現状で十分」との医師からは、「メールでも情報提供されているがほとんどスルーしている。MRから情報提供されると本当に重大なものかどうかわかる」(40代、消化器外科)との意見の一方で、「これ以上情報が増えても利用できない」(30代、循環器内科)、「これ以上増やすと、かえって重要なものが埋もれてしまうと危惧する」(50代、消化器外科)、「あちこちから情報が出ると、かえって情報が埋もれることになりかねない」(40代、小児科、アレルギー科)――などと、情報社会の中で真に必要な情報がしっかり得られることこそ重要との声が目立った。
「情報提供システムを構築する必要がある」との医師からは、「情報の出所が多すぎて対応しきれない。情報を集約して伝達するシステムがあればよいと思う」(50代、循環器外科)、「各社バラバラの感があるのでシステム構築の上、強化してほしい」(40代、血液内科)、「因果関係がはっきりしていないものまで全部報告されても混乱してしまう」(30代、呼吸器内科)などの声が寄せられた。