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【日本高血圧学会リポート】ARBとCCBの併用 薬価を加味したテーラーメード投与必要

公開日時 2010/10/19 06:00

本態性高血圧症でのアンジオテンシンII受容体桔抗薬(ARB)とカルシウム拮抗薬(CCB)の併用療法では薬剤の組み合わせにより、降圧度と心拍数の変化は異なる可能性があり、家庭血圧、心拍数といった臨床的基準に加え、薬価も考慮したテーラーメード投薬が必要である。東北公済病院内科の山岸俊夫氏は16日、日本高血圧学会の高得点演題セッションでこのような発表を行った。


山岸氏は同院に外来通院中の本態性高血圧患者を120例を対象に無作為にCCBのアムロジピンベシル酸塩(商品名・アムロジン/ノルバスク:AM)5mg(AM)またはアゼルニジピン(商品名・カルブロック:AZ)16mgを割り付けて12週間、1日1回朝食後投与し、旱朝家庭収縮期血圧135mmHgまたは拡張期85mmHg以上の患者にARBのバルサルタン80mg(商品名・ディオバン:Val)またはオルメサルタン20mg(商品名・オルメテック:Olm)をいずれかを無作為に12週間、1日1回朝食後投与を追加し、4群間で投与前、投与開始から12週間後、24週間後の3時点での早朝家庭血圧および心拍数(前後5日平均)、生化学データ、脈波伝播速度(baPWV)および頸動脈内膜中膜厚(IMT)を比較した。


薬剤投与開始前の早朝家庭血圧および家庭心拍数(平均±標準偏差で表記)は、投与前は162.0±10.0/97.9±8.6mmHg、71.6±9.6拍/分。各群間で投与前の血圧値や心拍数、その他の患者背景に有意差はなかった。


ARBとの併用療法12週後(CCB投与開始24週後)の収縮期/拡張期降圧度は、Val+AM群:-27.1±12.4/-16.6±7.4mmHg、Olm+AM群:-24.4±7.6/-16.0±7.8mmHg、Val+AZ群:-28.8±10.6/-16.9±7.3mmHg、Olm+AZ群:-23.8±7.5/-13.8±5.4mmHgでいずれも薬剤投与前よりも有意に減少し、4群間での差はなかったが、Val併用群で降圧度が高い傾向が認められた。


また、心拍数(拍/分)減少度は、Val+AM群:-1.O±9.0、Olm+AM群:-0.7±6.6、Val+AZ群:-4.8±5.9、Olm+AZ群:-5.2±7.3で薬剤投与前よりも有意差をもって減少し(p<0.05)、4群間ではOlm+AM群、lm+AZ群の2群間でAM併用群よりもAZ併用群で有意な心拍数変化を認めた。 一方、血清カリウム値、クレアチニン値、尿酸値、各種血清脂質値といった生化学データは4群の投与前後および各群間で有意差はなく、baPWVは4群とも投与前後で有意に減少したものの群間差はなく、IMTは減少傾向だったものの投与前後で4群とも有意差はなかった。


◎併用は家庭血圧。心拍数を基準にとし、薬価も考慮すべき


また、各群の薬価について、収縮期血圧10mmHg、心拍数1bpm、baPWV100cm/secのそれぞれを下げる併用薬価の最小値はいずれもVal+AZ群であり、これに各製品の後発品とVal+AMの配合剤エックスフォージとOlm+AZの配合剤レザルタスを加えて薬価を検討すると、収縮期血圧10mmHg、baPWV100cm/secのそれぞれを下げる最小薬価はエックスフォージ、心拍数1bpmを下げる最小薬価はレザルタスだったという。
このことから山岸氏は「ARBとCCBを併用する際は、家庭血圧および心拍数を基準にした判断の必要性があり、薬価も考慮して、併用あるいは配合剤を選択することが望ましい」との見解を示した。
 

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