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CASの治療成績 プラークに応じた合併症の抑制で良好に

公開日時 2011/01/26 04:00

国内43施設へのアンケート調査の結果から

 

 

 

第26回日本脳神経血管内治療学会学術総会
シンポジウム「新世代のCAS:治療適応とデバイス選択」

 

宮地氏頚動脈ステント留置術(CAS)は、頚動脈内膜剥離術(CEA)に比べて臨床成績が悪いとの結果が最近の欧米での無作為化比較試験で示され、安全性に疑問が呈されている。一方で、日本国内では症例に応じたプラーク評価のもと、プラークに由来する合併症の発症予防に努めた結果、欧米よりも良好な成績が得られているとの現状が浮かび上がった。名古屋大学大学院脳神経病態制御学講座准教授の宮地茂氏が、国内43施設へのアンケート調査による7333例の分析をもとに、第26回日本脳神経血管内治療学会学術総会で開かれたシンポジウム「新世代のCAS:治療適応とデバイス選択」で11月18日報告した。

 

 

 

 

 

 

 

解析では、症例を①CAS認可前のバルーンプロテクション(BP)法時代(I期)4072例②CAS認可後のフィルタープロテクション(FP)時代(Ⅱ期)1526例③リスクに応じてプロテクション法を使い分け、proximal protection (PP)を用いたコンビネーション法が増加している最近(Ⅲ期)1735例――に分け、有害事象の頻度などを比較した。

 

 

 

 

有害事象の発症率 コンビネーション法増加で有意に低下

 

 

表30日以内の主要な有害事象の発生率はI期6.1%、Ⅱ期10.2%、Ⅲ期3.5%だった。このうち、脳卒中の発症率はI期5.2%、Ⅱ期9.2%、Ⅲ期3.1%で、有害事象全体および脳卒中のいずれもⅠ期、Ⅱ期に比べ、Ⅲ期で有意に発生率が低下していた(P値<0.001)。
 

また、症候性の虚血性イベント発生率ではI期5.4%、Ⅱ期10.0%、Ⅲ期4.3%で、いずれの期でもCAS施行24時間以内に発生しており、Ⅱ期のFP時代が最も成績が悪く、現在のⅢ期ではⅠ期と比較してもイベント発生率は低下していた。なお、一過性の虚血イベント発生率をプロテクション法の違いで比較すると、BP(4391例)4.6%、FP(2270例)6.0%で、FPでのイベント発生率が有意に高かった(P値=0.01)。

 

 

 

 

プラーク評価の施行率上昇で有害事象の発症率低下か?

 

 

一方、Ⅰ期3078例、Ⅱ期1121例、Ⅲ期1377例を対象にしたサブ解析で、CAS施行1カ月後での虚血性イベントによる有症状割合を神経症状評価スケールのmodified Rankin Scale(mRS)で1[症状はあるが障害なし]以上と規定して検出すると、Ⅰ期2.6%、Ⅱ期5.3%、Ⅲ期1.7%と、Ⅲ期目で最も低率だった。
 

Ⅲ期で全体的に有害事象が減少している原因の1つがCAS術前のプラーク評価の施行率の上昇であり、今回の調査ではⅠ期43.5%、Ⅱ期72.5%、Ⅲ期84.8%とⅢ期では9割近くでプラーク評価が実施されていた。
 

このことはアンケートで聴取した治療戦略に関する意向調査でプロテクション・デバイス選択に当たって最も重視しているファクターとしてトップに「プラークイメージ」(100%)が挙がったことからも裏付けられた。
 

また、プロテクション法選択割合でも合併症頻度が高いとされるFPの使用率はⅡ期では9割以上だったが、Ⅲ期では約半数程度にとどまり、逆にPPが約4分の1と以前より極めて多く行われていることも影響していると考えられたとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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