大日本住友の統合失調症薬ラツーダ 米国で2月上旬発売へ 差別化に自信
公開日時 2011/01/27 04:01
大日本住友製薬は1月26日、グローバル戦略品の統合失調症治療薬ラツーダ(一般名:ルラシドン)を米国で2月上旬に発売するのを前に、販売戦略や市場でのポジショニングなどに関する説明会を行った。同社の米国子会社のサノビオン・ファーマシューティカルズの社長兼COOのマーク・アイウィッキ氏と上級副社長のアントニー・ローベル氏が出席し、臨床開発の結果や営業戦略について解説し、「この薬剤はドクターからみてもファーストラインとしての位置づけ。(効果不十分や有害事象などの理由で)アンメットニーズは依然として高く、発売初年度はほとんど他剤からの切り替えを狙う」と意気込みを示した。目標売上高は統合失調症の適応のみで700億円(2014年度)。
両氏によると、同剤の特徴として、服用の簡便さ(1日1回投与で、漸増投与が不要)や、既存の同種薬効の薬剤(非定型抗精神病薬)の多くで問題とされるQTc延長の可能性が添付文書の禁忌や警告がないこと、体重増加や代謝系(脂質、血糖値)の異常のリスクが低い点を強調。アイウィッキ氏は、多くの非定型抗精神病薬では体重増加や代謝系疾患を起こしやすい点を挙げ、「ラツーダは大きな差別化になる」と自信を示した。精神科医の取り込みに注力するとともに、競争力のある価格や薬剤費償還への戦略により、臨床現場への早期浸透を狙う構え。
同剤を米国で販売するサノビオン社では、336人のMR(うち病院担当MR70人)がプロモーションを展開する。米国の統合失調症患者は約200万人で、精神科医は約2万2000人。ある調査では患者の74%が「症状が改善されない」「効果の不足や有害事象のため」「多数の治療薬を試すことが多い」などの理由で18カ月以内に治療薬の服用を中止したとの結果もあることから、同社では「高い薬剤の中止や切り替え率はラツーダの治療機会を生み出す」との期待を示している。
米国の非定型抗精神病薬市場規模は158億ドルで、3%成長の安定市場。この伸長は双極性障害やうつ病への使用によって後押しされており、サノビオン社では「双極性障害の効能追加をすると市場が大きいため、他社品を見ても非常に売り上げが上がっている」として、ラツーダで予定している12年前半の双極性障害の効能追加申請が「非常に重要な意義をもたらす」と期待を示した。さらに、大うつ病についても今年の第2四半期に臨床試験の開始を計画しているほか、IMデポ剤(1カ月に1回投与型の注射剤)の開発を数年先に予定するなど、売上拡大に向けて適応拡大を継続的に実施していく方針。日本では現在、フェーズ3試験の結果を解析中だ。