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日本ベーリンガー 東京タワーで「完全没入ショールーム」 統合失調症の世界追体験で共感を

公開日時 2024/10/16 04:50

日本ベーリンガーインゲルハイムは、統合失調症の当事者に起きている世界に没入し、体験できる「完全没入ショールーム」を10月12~14日、東京タワーで開催した。没入ショールームでは、統合失調症の主な症状である陽性症状、陰性症状、認知機能障害を追体験するエリアを設けた。日本ベーリンガーインゲルハイムのルトガー・バンデルホルストメンタルヘルス・眼科領域事業本部長は10日にメディア向けに開いた内覧会で、「一般の方々も統合失調症を抱えている方に対して共感を持ち、生活の中でも一緒にサポートする環境を実現したい」と述べ、統合失調症の認知度向上に意欲を示した。

◎「没入型」展示で陽性症状、陰性症状、認知機能障害を追体験

没入ショールームは、陽性症状追体験エリア、陰性症状追体験エリア、認知機能障害追体験エリア、統合失調症当事者のHimaco氏のエピソード体験エリアで構成。Himaco氏のコミックエッセイを題材に当事者の日常を再現した映像を投影するほか、3つの症状を象徴する当事者の部屋を再現した。

陽性症状追体験エリアは、幻覚・幻聴や妄想・思考障害などで普段は取らない行動をしてしまう様子を再現した。部屋の外から誰かに見られていると感じカーテンを閉め切ったり、盗聴器が部屋の中に仕掛けられていると思い部屋中を探し回ったりするなどの行動が追体験できる。

陰性症状追体験エリアは、思考や意欲の低下、無関心・無気力の症状により、部屋が散らかったベッドルーム。「頑張らなきゃいけないと思うのに動けない」という当事者の葛藤を投影。山積みになった洋服や化粧品が散乱する部屋で、散らかっても片づけられないという当事者の行動を知ることができる。

認知機能障害追体験エリアは、注意力や計画能力、記憶力の低下による影響を再現したダイニングキッチン。家事で何から手を付けるのか分からなくなったり、仕事で質問に答えられないなど臨機応変な対応が難しくなったりする様子を紹介し、周囲の寄り添った声掛けや認知機能を使うリハビリの重要さなども紹介された。

こうした「没入型」の展示によって、なかなかイメージしにくい統合失調症患者の世界を自分自身が見えているものとして感じられ、一般の人でも統合失調症が感覚的に理解できるような工夫が施されている。

◎ルトガー事業部長「患者さんが日常生活に戻った時に普通の活動できる環境を」

日本ベーリンガーインゲルハイムのルトガー事業本部長は内覧会で、「グローバルカンパニーとして、治療薬を届けることだけが十分だとは思っていない。患者さんが日常生活に戻った時に、周囲の人を含めて普通の活動をしていけるような環境を整えるための啓発活動を行っていく」と強調した。

◎東京タワーで点灯式 シルバーリボン運動のシルバーとグリーンに


今回のイベントは精神疾患の理解促進などに取り組むシルバーリボンジャパンの協力で行われた。内覧会後は東京タワーの点灯式が行われた。メンタルヘルスへの理解促進を目的とした「シルバーリボン運動」の一環で、シンボルカラーであるシルバーと、メンタルヘルスのイメージカラーとされるグリーンにライトアップされた。
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