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東日本大震災 医師の現地リポート 小児医療が後回しに メドピア調査

公開日時 2011/03/28 04:00

医師限定コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは、3月11日に発生した東日本大震災で被災した医師や救援活動にあたった医師の現地リポートを募集し、3月25日にその一部を公開した。被害の多くが津波によるものだったことから、被災地には死亡者か軽症・無傷の人が多く、重症の救急患者があまり見られなかった状況が複数の医師から寄せられた。また、小児医療を提供できる医師が少なく、小児が後回しにされ、親を亡くすなどした小児の心のケアや治療に十分対応できていないとの意見も見られた。メドピアの会員医師は約3万5000人。

医薬品関係では、「薬や点滴注射の不足が深刻」(宮城県仙台市郊外の中小病院)や「地震から約10日後に内服切れ」(宮城県のクリニック)といった内容や、「(宮城県気仙沼市で)巡回診療を中心に行ったが、重症患者は皆無で、慢性疾患の通常薬がないとの訴えや、トイレ、水分の問題から便秘が多くみられた。また、コンタクトや皮膚の軟膏などの需要も高かった」とのコメントがあった。

メドピアは3月23日から被災地現地リポートを募集。24日15時現在で約300件のリポートが寄せられたという。現在も現地リポートは募集中で、今後も随時公開するとしている。

◎トリアージでは「黒」か「緑」がほとんど 「DMAT活動見直し図られるかも」

メドピアに寄せられたリポートには救急患者のトリアージに関するものも散見された。その内容は、「黒タグ(死亡)が多く、阪神大震災であった赤タグ(緊急治療が必要な重症患者)の数が少ない」や「トリアージの赤が限りなく黒に近く、黒or緑(軽症患者)といった感じ」というものだった。このような状況からリポートを寄せたある医師は、自身も、震災時などに急性期医療を専門に行う「DMAT(災害時派遣医療チーム)」として被災地に入ったものの、「被災者は生きているか死んでいるかの2択で、生きている人は軽症か無傷がほとんどだった。おそらくDMAT活動の見直しが図られるのではないだろうか」とのコメントを寄せた。

また、ある小児科医からは、大規模災害ということから救急、整形、外科の医師が多く駆り出されたこともあって、「親を亡くして立ち尽くす子にどのように接したらいいかわからない、PTSDに関してアドバイスができない、発達が正常かどうか判別できないなど、成人の治療は可能だが、小児は後回し、小児の対処はわからないということが多かったようだ」とし、「小児に対する『心のケア』『治療』ができるスタッフを同行させた方が良い」との意見を寄せた。

一方、医療提供面では物資不足のほか、「ご家族と会えないので、急変時のインフォームドコンセントなどの説明ができていない」や「医師より薬剤師支援が望まれる」とのコメントがあった。

そのほか、大震災を目の当たりにして、「死体検案書作製の仕事に携わった。涙なしではとてもできる作業ではない。現地の状況はテレビ報道や新聞記事の比ではない。悲惨そのものでとても言葉で言い表せるものではない」(宮城県で活動した医師)、「野戦病院というより生き地獄だった」(岩手県で活動した医師)、「DMATで出動した。空港で中等症患者の診療にあたったが、診療中も地震があったりして、被害にあってない私たちでさえトラウマになりそうな状況だった」――とのコメントもみられた。
 

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