医師の処方影響 担当MRとオウンドメディアが強まる リアル回帰で メドピア・エモーションテックNPS調査
公開日時 2024/12/10 04:51
コロナ禍が収束し、リアル回帰が指摘される中で、この1年間で医師の処方に対し、「担当MR」と「オウンドメディア」の影響力が強まる傾向にあることが示された。メドピアとエモーションテックは12月9日、公表した「製薬業界NPS調査レポート2024」で、医師約3600人の回答を分析した結果を示した。コロナ禍で医師への情報提供チャネルとして、デジタルチャネルが定着する中で、オンライン講演会がトップ3に入るなど、チャネルとしての影響力を発揮。一方で、「担当MR」と「オウンドメディア」のチャネルとしての影響力が強まっていることもわかった。
調査では医師に薬剤をどの程度おすすめしたいか、NPSを用いて尋ねた。“薬剤推奨度(薬剤NPS)”を推奨者の割合から批判者の割合を引いた形で算出した。薬剤NPSが上がるほど、今後の薬剤処方意向が高まる傾向がある。薬剤NPSへの影響が強かったチャネルとしては「オンライン講演会」が前回より微減したがトップを守った。次いで、「担当MR」、「医療情報メディア」となった。トップ3のチャネルは、22年、23年調査から変わらないものの、「担当MR」が68ポイントから90ポイントに増加。「オウンドメディア」が19ポイントから37ポイントへと伸びた。
◎MRの「最新情報」や「エリア情報」にポジティブな声集まる 時間や訪問頻度に指摘も
フリーコメントでMRについてよく言及されているトピックでは、「最新情報の提供」や「エリアに関する情報の提供」がポジティブな評価につながっていた。一方、「時間調整の難しさ」や「訪問頻度の適切さ」はネガティブに言及されていた。「最新情報の提供」では、医師側が知らなかった情報を先回りする情報提供が評価された。加えて、副作用の相談に対する迅速な回答や、関連する資料や論文の追加情報の提供もポジティブに受け止められていた。「エリアに関する情報の提供」では、近隣エリアの複数の医療機関を訪問するMRによるエリア情報や地域の動向共有に価値を感じているとのコメントが寄せられた。地域だけでなく、専門領域ごとの薬剤洗濯や診療状況などの情報も評価されたという。
オウンドメディアでは、コンテンツの「情報の探しやすさ」について、ネガティブな言及が目立った。オウンドメディアの場合は、医療情報メディア以上に目的を持って必要な情報を探して訪れることが多いが、「情報の探しやすさ」という点で、求める情報にたどり着けないという反応が目立った。医療情報メディアでは「探しやすさ」はポジティブな言及が多いことから、オウンドメディア特有の課題と推察され、同時に情報の見つけやすさ、リーチしやすさが重視されている傾向がうかがえた。
調査結果を受けて、レポートでは「デジタルチャネルでの情報取得が一般的になってきたことにより、複数のチャネルでの情報発信はもはやスタート地点」とした上で「アクセスのしやすさ、情報検索のしやすさ、情報の新規性など、求められることがより細分化されてきている」と指摘している。
調査は、24年10月2日~4日にかけて、医師専⽤コミュニティサイト「MedPeer」の登録会員のうち、処方による治療を行っている医師を対象にWebアンケートで行った。有効回答数は3626件。フリーコメントについては、エモーションテックの生成AIを活用したテキスト分析「TopicScan」で、よく言及されているトピックの抽出、ラベリング、要約、集計を行った。
なお、メドピアとエモーションテックの「製薬業界NPS調査レポート2024」はURL(
https://emotion-tech.co.jp/whitepaper/2024/pharma_report2024/)から。