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【ATSリポート】ブデソニド/ホルモテロール配合剤は長期的な喘息コントロールに有効

公開日時 2011/05/20 03:00

中等症から重症のアフリカ系アメリカ人喘息患者において、吸入ステロイド薬(ICS)のブデソニド(BUD)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)のホルモテロール(FM)の配合剤(BUD/FM)による治療は、BUD単剤による治療と比べ、肺機能の長期的な改善に有意な効果を示すことが無作為化二重盲検試験で明らかになった。また忍容性が高く、喘息増悪の予防にもより効果的であることも示された。


LABA単剤使用の安全性懸念の発端となったサルメテロール(SM)を用いた大規模臨床試験「The Salmeterol Multicenter Asthma Research Trial; SMART試験」では、少ないながらも有意にSM使用群において呼吸器関連の死亡、喘息関連の死亡が増加するとの結果が報告され、とりわけアフリカ系アメリカ人でそのリスクが大きくなることが示された。


その後、FDAはLABA使用に際して、ICS併用を基本とするラベル改訂を指示し、現在、大規模臨床試験による安全性確立が待たれている。今回報告された試験結果は、アフリカ系アメリカ人を対象にしており、LABA含有製剤の安全性の議論に対して一石を投じるものとなった。米ミシガン子供病院のRandall W. Brown氏らの研究グループが、米・デンバーで5月13~18日まで開催中の米胸部学会議(ATS)2011のポスターセッションで、15日発表した。


ICSとLABAの併用は、中等症から重症の喘息患者の管理における有効性が報告されている一方で、罹患率が高く、転帰が悪いとされるアフリカ系アメリカ人患者での有効性・安全性は十分にエビデンスが構築されていない。


研究グループは、12歳以上のアフリカ系アメリカ人で、中等症から重症の喘息患者742例(臨床診断から最低6カ月経過、気管支拡張薬投与前の予測値に対する1秒量(%FEV1)が50%以上、短時間作用性β2刺激薬吸入15~30分後あるいはICS投与期間中のFEV1の改善が200ml以上かつ12%以上、中~高用量のICSまたはICS/LABAの併用を30日以上継続使用)を対象に、最初の2週間はBUD pMDI(160μg 1回2吸入 1日2回)で導入した後、BUD/FM pMDI(160/4.5μg 1回2吸入 1日2回)かBUD pMDI(160μg 1回2吸入 1日2回)を投与する2群に1対1の割合で無作為に割り付け、1年間治療を行った。


有効性評価項目は、FEV1と努力性肺活量(FVC)、朝のピークフロー値(mPEF)の3項目における、治療期間中のベースラインからの変化(調整済平均値)とした。
ベースラインの患者特性は両群で類似しており、平均年齢はBUD/FM群36.2歳、BUD単剤群38.4歳、罹患期間はそれぞれ17.9年と19.3年、男性の割合はそれぞれ34.0%と36.4%、%FEV1はそれぞれ77.0%と78.2%(割付時)だった。また被験者の83%がICS単剤、15%がICS/LABA併用による治療を受けていた。


治療の結果、FEV1の変化はBUD/FM群が0.08Lだったのに対しBUD単剤群は-0.01L(P値<0.01)で、BUD/FM群で有意に改善が認められた。この改善は治療開始後2週目から現れ、その後も継続する傾向がみられた。
FVCは、BUD/FM群が0.08Lに対しBUD単剤群が0.01L(P値=0.002)、また朝のPEF値の変化はそれぞれ30.13L/minと19.73L/min(P値=0.013)で、どちらもBUD/FM群がBUD単剤群と比べて有意に高かった。


◎喘息増悪 BUD/FM群で有意に低く、忍容性も良好


また喘息増悪についての解析では、経口/全身性ステロイド薬の必要性や救急の利用、入院などに至った喘息増悪が、BUD/FM群で有意に低いことがわかった。1回以上の喘息増悪を経験した被験者の割合は、BUD/FM群が7.7%に対しBUD単剤群が14.0%だった(P値=0.006)。また最初の増悪が発生するまでの期間もBUD/FM群で有意に長かった(P値=0.018)。


有害事象の発生率は、BUD/FM群51.2%(193例)、BUD単剤群47.8%(174例)で、ほとんどが軽度から中等度だった。このうち薬剤に関連すると判断されたものは、BUD/FM群で2.7%(10例)、BUD単剤群で1.9%(例)で、口腔内カンジダ症と口腔咽頭疼痛であった。重篤な有害事象はBUD/FM群3.2%(12例)、BUD単剤群4.1%(15例)だったが、薬剤に関連したものは報告されなかった。


研究グループはこれらの結果から、中等症から重症のアフリカ系アメリカ人患者に対するブデソニド/ホルモテロール配合剤の長期的有用性が示され、ICSだけでは適切にコントロール出来ないアフリカ系アメリカ人の喘息患者での使用を支持するものであるとしている。
 

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