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【AHAリポート】ADOPT  急性内科疾患のVTE発症予防 アピキサバン延長投与によるエノキサパリンへの有意差示せず

公開日時 2011/11/21 06:56

急性内科疾患(medically ill)の患者における、アピキサバンの延長投与は、退院後のVTE発症抑制効果において、エノキサパリンの有効性に対し、有意差を示せず、出血リスクを増加させることが分かった。Brigham and Women’s Hospital のSamuel Gold haber氏が、11月12~16日まで米国・オーランドで開催された米国心臓病学会年次学術集会で11月13日に開かれた「Late-Breaking Clinical Trials」セッションで、同剤の臨床第3相試験(P3)「ADOPT(Apixaban Dosing To Optimize Protection From Thrombosis)」の結果を報告する中で明らかにした。(望月英梨)


急性内科疾患患者における、症候性VTEの発生率は1%と言われており、半数が退院後に起こるとされている。一方で、退院後のVTE発症を抑制する、有効で安全な治療法はまだ確立されていないのが現状だ。
試験は、アピキサバン2.5mg1日2回投与が、エノキサパリン40mgに比べ、総VTEの発生+VTE関連死の発生率を減少させるか検討する目的で実施された。対象は、①うっ血性心不全、呼吸不全で入院した患者②感染症、急性リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)で、VTEのリスク因子(75歳以上、VTEの既往、BMI≧30、エストロゲン治療、部屋を歩くのに可動制限がある)を1つ以上有する患者6528例――とした。日本を除く35カ国、302施設から患者登録がなされた。試験期間は、2007年6月~11年2月まで。


①アピキサバン2.5mg1日2回30日投与群3255例②エノキサパリン40mg1日1回6~14日投与群3273例――の2群にランダムに割り付け、治療効果を比較した。エノキサパリンの投与は入院中とし、アピキサバン群は退院後も30±2日後まで投与を継続した。


有効性の主要評価項目は、30日後の総VTE+VTE関連死亡(致死的な肺血栓塞栓症(PE)+PEが理由として排除できない場合の突然死、非致死的PE、症候性静脈血栓塞栓症(DVT)、無症候性近位部型DVT)とした。安全性の主要評価項目は、出血とした。6~14日後と、30±2日後に超音波検査を実施した。


主要評価項目の解析対象は、アピキサバン群2211例、エノキサパリン群2284例の4495例。うっ血性心不全がアピキサバン群で39%(1270例)、エノキサパリン群で38%(1246例)、急性呼吸不全がアピキサバン群で37%(1208例)、エノキサパリン群で37%(1213例)だった。平均曝露期間は、アピキサバン群で24.9±10.0日、エノキサパリン群で7.3±4.0日間。


主要評価項目(有効性)の発生率は、アピキサバン群で2.71%(60例/2211例)、エノキサパリン群で3.06%(70例/2284例)で、アピキサバン群で発生リスクを減少する傾向を示したものの、有意差は示せなかった(RR:0.87、[95%CI:0.62-1.23]、p=0.44)。


エノキサパリン投与終了時までの総VTE+VTE関連死の発生率は、アピキサバン群の1.73%(43例/2485例)に対し、エノキサパリン群で1.61%(40例/2488例)で、アピキサバン群で増加する傾向がみられた(RR:1.06 [0.69-1.63])。この結果はすべてのサブグループ解析でも同様の傾向を示した。
一方で、エノキサパリン投与終了後の総VTE+VTE関連死の発生率は、アピキサバン群で0.92%(18例/1959例)に対し、エノキサパリン群では1.55%(31例/2002例)だった(RR:0.59[0.33-1.05])。症候性のVTE+VTE関連死は、アピキサバン群の0.25%(8例/3175例)に対し、エノキサパリン群0.56%(18例/3205例)で、いずれもアピキサバン群で減少する傾向がみられた(0.44 [0.19-1.00])。


一方の安全性は、大出血+臨床上重大な出血が、アピキサバン群で2.67%(85例)、エノキサパリン群で2.08%(67例)で、アピキサバン群で高い傾向が示された(RR:1.28[0.93-1.76]、p=0.12)。大出血については、アピキサバン群の0.47%(15例)に対し、エノキサパリン群では0.19%(6例)で、アピキサバン群で有意な上昇がみられた(RR:2.58[1.02-7.24]、p=0.04)。


同試験について結果を報告したGold haber氏は、「登録された患者の1/3の超音波の結果は評価、もしくは入手できなかった」と説明し、試験の症例数(パワー)が不足していたことを指摘した。
Gold haber氏は、「たとえ患者が早期に退院したとしても、標準治療ではないが、エノキサパリンを入院後6~14日間投与することは、通常のエノキサパリンを用いた臨床ケアに比べ、良好な効果を示した」とした。その上で、退院後にVTEの発生リスクが上昇したにもかかわらず、アピキサバンの延長投与による有効性については、有意差を見出すことができなかったと総括した。


また、入院から10日後に超音波検査をすることで、“サイレントDVT(無症候性のDVT)”を発見し、治療できることから、「VTEの自然経過を変える」ことができると有効性を指摘した。
一方で、退院後のVTE発生リスクが高いことが同試験を通じても示されたことから、アピキサバンの延長投与については、VTEのハイリスク群に行うことで、有効性を示す可能性があると指摘。「さらなる“サブグループ解析”を行う必要がある」との見方を示した。ディスカッションでは、具体的な患者像として、心不全や肺炎の合併、可動制限がある高齢者を挙げた。ただし、これらの患者は同時に出血リスクが高い患者像でもあることから、さらなる検討が必要であることも指摘された。


なお、同試験の結果については同日付の「The New England Journal Of Medicine」に掲載された。

 

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