BMS・勝間社長 27年からの「新薬ラッシュ」を成功に導くAI駆動型ROI向上プランを実装 変革をリード
公開日時 2026/03/17 04:52

ブリストル・マイヤーズ スクイブの勝間英仁代表取締役社長は3月16日、東京都内で記者会見に臨み、2027年からの「新薬ラッシュ」を成功に導くAI駆動型のROI向上プランを実装させる方針を明らかにした。社員へのAI導入率は100%で、8割の社員が能動的に日常業務で利用している。また、単なる効率化でなく価値創造型のPower Userも3割を占めるという。一方、コマーシャル部門については、AI搭載型の営業サポートツール「シーイーキューブ」(CE^3)で医師との面会インパクトの最適化や医師のペルソナを活用したMRの面談事前準備に活かされている。今年からはマーケティング部門にAIによる医師向けの個別化コンテンツ制作ツール「mosaic」を導入した。勝間社長は、「今年はかなりの変革の年。新薬ラッシュが27年に始まるのであれば、いま体制を整えて実践しないといけない」と意気込んだ。
同社の25年グローバル業績は総売上高(医療用医薬品売上高)482億ドルとなり、純利益は70.54億ドルの黒字となった。抗凝固薬・エリキュースは8%増の売上高144.43億ドルを確保、がん免疫療法薬・オプジーボ(ニボルマブ)も8%増の100.49億ドルと堅調な業績をキープしたものの、こうしたレガシー製品が今後相次いでLOE(特許切れ)を迎えるリスクを抱え、グローバル全体でビジネス変革が求められる状況にある。一方で27年以降は、承認見込みの新薬数が過去5年の2倍(27年から5年間で承認数は50)となる「新薬ラッシュ」が見込まれ、BMS全体では「Rewire戦略」(配線をひき直す)に舵を切る方針がすでに発表されている。
◎「Rewire戦略は、単純な(ビジネスの)再構築ではない」 オーナーシップの発揮に期待
勝間社長は会見で、「Rewire戦略は、単純な(ビジネスの)再構築ではなくて、オペレーション、意思決定から、社員のマインドセット、能力開発のすべてを再構築することだと理解して欲しい」と明言。「今の時代に経営層や会社からの指示を待っているような組織では当然競合にも勝っていけない。さらに重要なことは自分たちのミッションである患者・顧客のニーズにも応えていくことはできない」と述べ、「自分の責任感の枠を超えてオーナーシップを社員全員がしっかり発揮していくというものが我々のRewire戦略である」と言い切った。
そのRewire戦略の一角を担うのが「AI・テクノロジー」を用いたビジネスプラットフォームの構築だ。勝間社長は、すでに社員へのAI導入率が100%を超えたと明かした上で、AI駆動型のROI向上プランについて語ってくれた。すでに同社はコマーシャル部門に営業サポートツール「シーイーキューブ」(CE^3)を導入しており、これにAIを搭載することで、社内に蓄積された様々なデータをリアルタイムに解析し、医師が、「今まさに知りたいと思っている臨床データ」、「MRに聞きたいと思っている質問」、「副作用であるとか、用量調整が必要となるタイミング」などのサジェスチョンを与えてくれる。またMRに対し、AI医師とのトレーニングツールも用意した。勝間社長は、「これまで同僚同士でやっていたロールプレイがAI化され、全員がフィールドに出る時間を確保できるようになる。またAIを相手に何度も何度もトレーニング(カベ打ち)できることで、MRのクオリティが上がるり、実際の本番場面でのドクターのインパクトとMR側も経験値を得ることができる」と評価した。
◎マーケティング部門 個別化コンテンツ制作ツール「mosaic」を導入
医師との面談記録についても、「AIが誘導する形で音声記録していく時代が、今まさに来ようとしている」と述べた。さらに、マーケティング部門では、パーソナライズ化した医師向け個別化コンテンツ制作ツール「mosaic」を導入したことを明らかにした。
◎「一定のポイントを超えると、急にROIが改善する」 AI活用 “数字の結果は明らかだ”
勝間社長はAI活用の意義について、「27年から新薬ラッシュがスタートするが、我々は立ち上がりをいかに早くするかが大切だと考えている。同時に承認新薬数が27から50に増えようとも、その組織を倍増させるというのはROIの観点から当然正しくない。当然、今の組織の形を最適化していく中でどうしていくかということになる」と指摘。続けてROIの視点からは、「人間だけの力で、そういった神業はできない。最初のコンテンツHubの立ち上げには投資が必要となる。AI agentだとか、そこで働く社員が導き出すアウトプットや時間・コストもROIの観点でマイナスになることもあるが、ただ、その一定のポイントを超えると、急にROIが改善する」と強調。「AIのサジェスチョンを活用している群と活用していない群を見ていると、“数字の結果は明らかだ”」と述べ、27年を先取りした今年こそがAI駆動型のROI向上プランを実装させるタイミングに相応しいとの認識を示した。