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【秋アレリポート】COPD患者では炎症性サイトカイン IL-18発現が増加

公開日時 2011/11/30 06:00

 

星野氏久留米大学呼吸器・神経・膠原病内科部門教授の星野友昭氏は、11月12日に開催された第61回日本アレルギー学会秋季学術集会のシンポジウム「多角的にみた喘息とCOPDの類似点、相違点」で、喘息とCOPDでは、ともに気道上皮細胞で炎症性サイトカインのIL-18の発現が健常人に比べて増加し、その病態に深く関与している可能性が高いことを報告した。

一般に、COPDではCD4陽性T細胞のTh1型サイトカイン、喘息ではCD4陽性T細胞のTh2型サイトカインが深く関与しているとされる。こうした中でカスパーゼ1により成熟体に分化するIL-1ファミリーの炎症性サイトカインIL-18は、IL-12存在下ではインターフェロン(IFN)-γの産生を亢進させ、Th1型反応性の感染防御に関与し、IL-12非存在下、とりわけIL-2存在下ではTh2型のアレルギー反応を誘導し、IL-4、IL-5、IL-13を産生することが報告されている。

星野氏らは、GOLD分類でステージ4に分類される肺容量減少術を受けた最重症COPD患者においてIL-18と疾患との関連を検討。COPD症例では非喫煙者に比べ、肺病変部での組織学的検討から肺胞マクロファージ、好中球、CD8陽性T細胞が増加し、免疫染色では気道上皮細胞と炎症細胞でIL-18およびその受容体の発現が亢進していた。


◎過去の喘息死症例にCOPD症例が含まれていた可能性も

非喫煙者、喫煙者、COPD症例において各ステージ別で比較すると、血清中IL-18値は、非喫煙者に比べ、喫煙者、COPD症例では有意に高値であり(p<0.05)、IL-18値はCOPDのステージが上がるほど高い傾向が認められた。同時に血清中IL-18値は1秒率の予測値(%FEV1)と逆相関を示し、IL-18値が高いほど肺機能は悪化していることが明らかになった。

一方、星野氏らは、非アレルギー健常人(スキンクリップテスト陰性、気道過敏性PC20>32mg/nl)、アレルギー症例(スキンクリップテスト陽性、気道過敏性PC20>32mg/nl)、アレルギー喘息症例(スキンクリップテスト陰性、気道過敏性PC20<16mg/nl)の3群間でIL-18について組織学的および血清学的な比較を実施。免疫染色ではアレルギー喘息患者 の気道上皮細胞と平滑筋でIL-18の発現が認められ、血清中の炎症性サイトカインレベルはIFN-γ、IL-4、IL-10、IL-12、IL-13はいずれも3群間で有意差はなかったが、IL-18は非アレルギー健常人、アレルギー症例に比べ、アレルギー喘息症例で有意に高値になっていた(p<0.05)。

また、血清IL-18値と気道過敏性は相関を示し、IL-18値が高くなるにつれて気道過敏性は亢進していた。

重症喘息患者でのIL-18との関連を探るために非喫煙喘息死症例で検討した結果では、喘息死症例では軽症喘息症例や正常肺症例と比較して、組織学的に重度の炎症と気道リモデリングが確認され、病変部で有意な好酸球とリンパ球による浸潤が確認された(p<0.05)。

好中球レベルについては過去の報告に比べ、3群間に有意差がなかった。この点について星野氏は「過去の喘息死症例での検討では、COPD症例が含まれていた可能性がある」と分析した。

さらに喘息死患者では、CD4陽性T細胞よりもCD8陽性T細胞の発現が増加しており、軽症喘息症例や正常肺症例に比べ、血清IL-18値は有意に高値だったことを明らかにした(p<0.05)。

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