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ダビガトラン適正使用に向け薬剤師の服薬指導が重要に

公開日時 2012/04/25 16:00

 

 

 

直接トロンビン阻害薬・ダビガトランが臨床現場に登場して約1年が経過した。実臨床での同剤の有効性・安全性も分かってきた。学会初日の3月16日に開かれたポスターセッションの内容から、同剤の適正使用に向け、薬剤師が服薬指導で求められている点を紹介する。

 

 

 

 

 

 

 

腎機能が低下した女性で出血リスク高く
服薬指導で課題も

 

 

山本氏ダビガトランとの因果関係の否定できない出血が、高齢女性の腎機能低下症例で発生頻度が高いことから、薬剤師が服薬指導に際し、留意する必要がある――。心臓病センター榊原病院でダビガトランを処方された178人を対象に、レトロスペクティブに解析した結果から、同病院薬剤部の山本愛氏が指摘した。
 

対象は2011年4~8月の期間にダビガトランを処方された178例。年齢70.3±12.2歳、男性115例、女性63例で、投与量は低用量(110mg1日2回)が122例で、全体の7割を占めた。クレアチニンクリアランス(CCr)67.8±28.1で、高度腎機能低下症例(CCr<30mL/min)に、ダビガトランが処方されているケースもあった。なお、平均CHADS2スコアは1.90±1.30だった。
 

報告された有害事象は、消化管症状(下痢、胸焼けなど)が最多で、9.0%(16例)、出血傾向(下血、血尿、血痰、INR延長など)4.5%(8例)が次ぐ結果となった。出血傾向のうち、出血症状のあった4例すべてが高齢(70歳以上)の女性で、腎機能低下症例であり、重篤な出血の発生はなかった。
 

山本氏は、これらの結果から「高齢かつ腎機能低下症例は、定期的な腎機能、凝固能モニタリングがより必要と考えられる」とした上で、「薬剤師もこれらの点や症状発現に留意し、薬剤管理指導を行うことが重要」との見解を示した。
 

*Cockcroft-Gault計算式より

 

 

 

 

 

山田氏 「下部消化管出血の可能性についての説明を」

 

 

山田氏一方、メディファーマの山田芳英氏は、ダビガトラン初回処方時の服薬指導で、下部消化管出血の可能性についての説明が不足している可能性を指摘した。ライフ薬局で同剤を処方されていた患者15人の薬剤服用歴をレトロスペクティブに調査した結果から、自身の見解を示した。
 

山田氏らは、2011年4~8月のダビガトラン服用患者15名について、患者背景や、初回服薬指導時の説明状況を調査した。
 

対象は、男性11名、女性4名、年齢は70歳未満が8例、70歳以上7名で、全例が低用量(110mg1日2回)を処方されていた。内訳は、ワルファリンからの切り替えが10例、新規服用が5例だった。
 

薬剤服用歴の記入内容から、初回服薬指導時に説明がなされていたのは、「ビタミンK含有食品の制限がないこと」が12例、「飲み忘れ時の対応」が10例、「併用薬の再確認」が5例、「出血・胃腸障害の可能性」は4例だった。
 

山田氏は、「ダビガトラン特有の下部消化管出血に対する説明が不足していた」と指摘。この理由として、投与患者がワルファリンからの切り替えが多く、「薬剤師の“出血についてはワルファリン処方時にすでに説明している”との認識があったことが原因」との見解を示した。今後は浮き彫りになった課題に対し、「黒い便に気づいた場合、薬局あるいは病院に連絡するよう注意喚起していきたい」とした。

 

 

 

 

 

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