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【ASCO特別版】SWOG9346 進行/転移前立腺がんに対するアンドロゲン除去療法 生存期間で持続的投与に非劣性示せず

公開日時 2012/06/05 07:25

ホルモン感受性進行/転移前立腺がんの生存期間に対する効果で、間欠的アンドロゲン除去療法(IAD)は、持続的アンドロゲン除去療法(CAD)に対する非劣性を示せなかった。国際無作為化臨床第3相試験「SWOG 9346 (INT-0162)」の結果から明らかになった。6月1日から米国・シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、University of Michigan Comprehensive Cancer CenrterのMaha Hissain氏が、6月3日に開かれたPlenary Sessionで発表した。


前立腺がんの標準療法はCADで、高い奏効率が得られるものの、やがてホルモン抵抗性となる。これは、アンドロゲン受容体依存、非依存の機序を介した、アンドロゲン除去(AD)に対する適応反応のためだと考えられている。
 

動物実験では、IADによってアンドロゲン非依存となるまでの期間をほぼ3倍に延長させることが示されている。臨床的にも、実質的なAD期間が短縮されることから、副作用低減、QOL改善が期待され、エビデンスのないまま広く受け入れられてきた。複数の臨床第2相試験結果には一貫性がなく、IADの是非は長年の議論となっており、適切な試験によって論争に終止符がうたれる日が待たれていた。


こうした中で、National Canccer Institute(NCI)がスポンサーとなり、欧米加の5つの共同研究グループ(SWOG、ECOG、EORTC、CALGB、NCIC)が参加して行われたのが同試験だ。


主要な登録基準は、▽新規診断された転移性前立腺がん▽PSA(前立腺特異抗原)>5ng/ml▽ネオアジュバント/アジュバントホルモン療法あるいはフィナステリド(前立腺肥大治療薬)は一定の制限のもとに可▽SWOG PS0-2▽文書でのインフォームドコンセントである。PS(0-1対2)、疾患範囲(Minimal対Extensive)、ホルモン療法の既往(ネオアジュバント療法対フィナステリド対なし)で層別化した。なお、疾患範囲のMinimalは脊椎、骨盤かつまたはリンパ節、Extensiveは肋骨、長骨かつまたは内臓と規定した。


1995年5月15日~2008年9月1日に3040例を登録した。全例に7カ月間、ゴセレリン+ビカルタミドを投与する導入AD療法を行った。その上で、6、7カ月時点で正常化(PSA<4)した1535例をIAD(770例)またはCAD(765例)に無作為に割り付けた。


両群のPSA値、PS、内臓転移の有無、骨疼痛、ホルモン療法の既往、悪性度を示すグラーソンスコアなど、予後に影響を与えると考えられる因子は、2群間に有意差はみられなかった。


CADは治療を継続する一方で、IADは治療中止して毎月PSAを測定し、試験開始時の値または20ng/mlに達した場合、再度、導入ADを7カ月間行った。正常化例は観察する一方、6、7カ月のいずれかの検査で4ng/mlを超えた場合は、進行(PD)まで持続的ADを行った。


主要評価項目は、①IADの生存期間のCADに対する非劣性②QOL――で、今回の発表では生存期間への影響についての検討が報告された。追跡期間(中央値)は9.2年間。事前に、95%信頼区間(CI)の上限を1.2に定めており、1.2を超えなければ非劣性を示すとした。
 

◎サブグループでも一貫した結果示す


主要評価項目の生存期間(中央値)は、CADが5.8年だったのに対し、IADは5.1年で、両群間に有意差はみられなかった(ハザード比:1.09、95%信頼区間:0.95-1.24)。信頼区間の上限である1.2を超え、非劣性が示せなかった。


疾患範囲以外の、事前に規定したサブグループでも同様に、CADがわずかに良好な傾向を示し、IADの劣性が示唆された。


ただし、疾患範囲の解析でのみ、Extensive群でIADの非劣性が示された(HR: 0.96, 95%CI 0.80-1.16)。一方で、Minimal群では、生存期間が有意に短かった(ハザード比:1.23、 95%CI;1.02-1.49、p=0.034)。


有害事象は、心疾患を含め、2群で差がなく、グレード4の有害事象もIADで11例、CADで15例と差がなかった。


Hussain氏は、「IADの生存期間に対する効果は、CADより劣ると結論付ける。今後も、CADが標準療法であるべきだ」と述べた。一方で、「疾患範囲は、事前に規定されたサブグループにすぎないが、予想外の驚く結果であり、今後検討する価値がある」との見解も示した。


◎Oh 氏「前臨床試験の結果を広めてはいけない。標準療法はCAD」


ディスカッションで登壇したMount Sinai Medical CenterのWilliam K. Oh氏は、規模や患者選択など、適切なデザインで長期にわたる試験を完遂したことを評価。ただし、サブグループ解析は疾患の範囲の定義が標準的ではないこと、生物学的根拠に薄いことから、解釈には慎重であるべき」との考えを示した。


これまでの主要評価項目として、全生存期間(OS)を評価した臨床試験では、OSの結果が「CADに比べ、IADが劣っており、本試験を含め、無作為化試験でIADの優位性を示したものはこれまでにない」とした。その上で、、「IADの方が優れているという前臨床試験の結果をこれ以上広めてはならない。標準療法は今もCADだ」と述べた。
 

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