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【ASCO特別版】日本人対象のcombined analysis 高齢者の進行性NSCLCにゲフィチニブ投与で有意にPFS延長

公開日時 2012/06/07 06:49

高齢者のEGFR遺伝子変異陽性進行性非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、ゲフィチニブをファーストラインとして投与することで、標準的な化学療法であるカルボプラチン+パクリタキセルの併用に対し、有意な無増悪生存期間(PFS)の延長を示すことが示された。日本人を対象に、ゲフィチニブの有効性を検討した、「NEJ001」、「NEJ002」、「NEJ003」の3試験のcombined analysis(統合解析)の結果から分かった。6月1日から米国・シカゴで開催されている米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、東北大学医学部呼吸器内科の鳴海創大氏が6月2日のポスターセッションで報告した。


ゲフィチニブは、標準的な化学療法に対し、有意な無増悪生存期間(PFS)の延長を示した「NEJ002」などのエビデンスから、EGFR遺伝子変異陽性進行性NSCLCに対する標準療法として確立されている。一方で、臨床試験には実臨床よりも若年者が組みこまれることが多く、高齢者への有効性はまだはっきりしておらず、さらなる検討が必要とされている。


今回実施された統合解析は、高齢者EGFR遺伝子変異陽性の進行性NSCLC患者に対し、ゲフィチニブをファーストラインとして用いた時の有効性と安全性を検討することを目的に実施された。


日本人の遺伝子変異陽性の進行性NSCLC患者に対し、同剤の有用性を検討した多施設共同臨床第2相試験の「NEJ001」、「NEJ003」、多施設共同臨床第3相試験の「NEJ002」の3試験から、70歳以上で、PS(全身状態)が0~2で、ゲフィチニブをファーストラインとして投与された患者を抽出し、検討した。


なお、3試験は患者対象、目的などが異なり、NEJ001は、化学療法未治療のEGFR遺伝子変異陽性の進行性NSCLC患者29例(20~74歳でPS3~4、75~79歳でPS2~4、80歳以上でPSが1~4)を対象とした試験で、ゲフィチニブの有効性・安全性を検討することを目的に実施された。


NEJ002は、化学療法未治療の35~75歳のEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者224例(ゲフィチニブ群:114例、カルボプラチン+パクリタキセル群114例)を対象に、標準的化学療法と有効性・安全性を比較した試験で、ゲフィチニブ群が化学療法群と比べて、主要評価項目であるPFSを有意に延長した結果だった(p<0.001)。


NEJ003は、75歳以上で化学療法未治療、PS0~1のEGFR遺伝子変異陽性の進行性NSCLC患者31例を対象とした試験で、ゲフィチニブの奏効率が74%(95%CI:58-91)、PFS(中央値)が13.6カ月であることが示されている。


今回行われた解析の対象は、ゲフィチニブ群71例(NEJ001:7例、NEJ002:33例、NEJ003:31例)で、対照群は、NEJ002のカルボプラチン+パクリタキセル群で同条件の34例とした。


患者背景は、平均年齢がゲフィチニブ群で76.8歳、パクリタキセル群では71.9歳で、ゲフィチニブ群で有意に高齢だったほか、女性は73%、非喫煙例が75%、PSが0~1が92%を占めた。


その結果、奏効率はカルボプラチン+パクリタキセル併用群の26.5%(12.9-44.5)に対し、ゲフィチニブ群では73.2%(61.3-83.0)で、ゲフィチニブ群で有意に高い結果となった。病勢コントロール率は、カルボプラチン+パクリタキセル併用群の73.6%(55.5-87.4)に対し、ゲフィチニブ群では94.4%(86.2-98.4)で、有意にゲフィチニブ群で高い結果となった(p=0.003)。無病悪生存期間(PFS)は、カルボプラチン+パクリタキセル併用群の5.7カ月に対し、ゲフィチニブ群では14.3カ月で、ゲフィチニブ群で有意に延長した(p<0.001)。一方で、全生存期間(OS、中央値)は、カルボプラチン+パクリタキセル併用群では26.4カ月だったのに対し、ゲフィチニブ群では30.8カ月で、有意差はみられなかった(p=0.42)。


QOLと安全性については、NEJ002における初回ゲフィチニブ群のなかで若年者と高齢者で比較したところ、QOLは、若年者との間に、「痛みと呼吸困難」(p=0.45)、「不安」(p=0.85)、「日常機能」(p=0.68)のいずれの項目も大きな差はみられなかった。


安全性については、高齢者において、肝機能(AST/ALT)上昇18.3%、皮疹4.2%、肺炎2.8%、下痢1.4%などを認めたが、若年者と比べ、大きな差はみられなかったとしている。


◆東北大学・鳴海氏「PSが良好であれば、高齢でもファーストラインでの投与を」


今回のcombined analysisの結果、病勢コントロール率もPFSもNEJ002と同様に、化学療法群に比べ、ゲフィチニブ群で有意に良好な結果を示しました。ファーストラインからゲフィチニブを投与することが、化学療法に勝ることを示していると考えます。QOLに直結するPFSで結果が出たことは臨床的な意義があると思います。


有害事象もゲフィチニブに特異的な皮疹や肝機能上昇は比較的高率ではありましたが、高齢者と若年者との間には大きな差はみられませんでした。死亡(Grade4)も1例ありましたが、一般的な治療関連死の割合を考慮すると許容できる範囲内だと考えられます。


PSが0~2の化学療法に耐えられる全身状態が良好の患者であれば、高齢ということを理由に治療をためらわず、ファーストラインでのゲフィチニブの投与を考慮していただきたいですね。


若年者ではPSが4の症例でもPSが改善したとの報告もありますが、全身状態が悪いEGFR遺伝子変異陽性の高齢NSCLC患者での治療の有効性については、今後さらなる検討が必要だと考えています。


死生観の問題もありますから、投与により、PFSが延長するということを説明した上で、しっかりインフォームド・コンセント(IC)を得たうえで治療にあたっていただければと思います。

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