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【ISC2013事後リポート】IMS-Ⅲ t-PA後の血管内治療 有意な機能予後改善示せず

公開日時 2013/03/19 04:00

血管内治療施行までの時間がカギに

 

中等度~重度の虚血性脳卒中急性期の患者における、t-PA静注療法後に血管内治療を施行することで、t-PA静注療法単独に対する、有意な機能予後改善が示すことができなかった。一方で、症候性頭蓋内出血や死亡率に大きな差はみられず、t-PA静注療法単独と比べ、安全性に大きな差がみられないことも分かった。サブグループ解析では、血管内治療の有効性に時間が大きく影響している可能性も示唆され、今後さらなる検討が求められることとなりそうだ。「IMS(Interventional Management of Stroke)-Ⅲ」の結果から示された。

 

試験は、発症3時間以内にt-PA静注療法施行後、血管内治療を施行する群、t-PA静注療法を継続する群の2群に2:1に割り付け、治療成績を比較した。主要有効性評価項目は、90日後の患者の自立度(modified Rankin Scale(mRS)で0~2)、主要安全性評価項目は、90日後の死亡率と30時間以内の症候性出血とした。
対象は、発症から3時間以内にt-PA静注療法を施行し、▽脳卒中重症度評価スケールであるNIHSSスコア(National Institute of Health Stroke Scale)で10以上または8~9▽t-PA静注療法前にCTアンギオグラフィー(CTA)で内頸動脈(ICA)または中大脳動脈M1または脳底動脈の閉塞が確認された▽ランダム化の40分以上前に同意が得られた――18~82歳の患者。すべての患者に、t-PAの標準用量である0.9mg/kgの10%を急速静注し、その後40分以内にt-PAの静注療法のみを継続する群(総用量のt-PA:60分)と、血管内治療施行する群(t-PA:40分)の2群にランダムに割り付けた。血管内治療群では、早急に血管造影検査(アンギオグラフィー)を行った上で、発症から5時間以内に、Merci Retriever、Penumbra System、Solitaire FRまたはt-PAをカテーテル先に超音波をつけたシステムであるEKOSまたは標準的なマイクロカテーテルを通じた動注療法を行った。なお、手技は7時間以内に終わらせることとした。
目標症例は900例だったが、データモニタリング委員会からの勧告により、656例が登録された2012年4月に早期中止された。米国、カナダなど58施設から、656例(血管内治療群:434例、t-PA単独群:222例)が登録された。登録期間は、2006年8月25日~12年4月17日まで。
ベースラインの患者背景は、年齢(中央値)が血管内治療群69歳(23-89)、t-PA単独群68歳(23-84)、NIHSS(中央値)が血管内治療群17(7-40)、t-PA単独群16(8-30)、ASPECTS8-10が血管内治療群56.9%(247例)、t-PA単独群59%(131例)などで、群間差はみられなかった。発症からt-PA投与までの時間は血管内治療群122.4±33.7分、t-PA単独群121.2±33.8分で大きな差はみられなかったが、t-PAの静脈投与から鼠径部穿刺までに86分、穿刺から動脈治療まで44分を要した。



90日以内の死亡、症候性頭蓋内出血 両群間に有意差みられず


主要有効性評価項目のmRS0~2は、t-PA単独群38.7%(86例)、血管内治療群40.8%(177例)で、両群間の調整絶対リスク差は、1.5%(95%CI:-6.1-9.1)にとどまり、群間差はみられなかった(p=0.70)。90日後のmRSにおいて、治療による有意差はみられなかった(p=0.25)。
重症度に分けてみると、NIHSS8~19の患者では差がみられず(p=0.83)、NIHSS20以上の患者では血管内治療群で良好な傾向を示したものの、有意差はみられなかった(p=0.06)。
サブグループ解析の結果から、血管内治療の成績が良好な群として、NIHSSが20以上(オッズ比(OR):1.37、95%CI:0.63-2.99)、発症120分以内のt-PA静注療法の施行(OR:1.24、95%CI:0.88-1.74)が浮かび上がってきた。特に、NIHSSが20以上で、発症120分以内のt-PA静注療法施行患者では血管内治療施行で予後が良好な可能性が示唆された(OR:1.77、95%CI:0.60-5.21)。また、発症から120分以内にt-PA静注療法を施行し、穿刺から動脈治療まで90分以内の患者でも血管内治療群で良好な成績を示す可能性が示唆された(OR:1.29、95%CI:0.90-1.86)。
一方、安全性については、90日以内の死亡はt-PA単独群で21.6%(48例)、血管内治療施行群19.1%(83例)、t-PA静注療法30時間以内の症候性頭蓋内出血がt-PA単独群で5.9%(13例)、血管内治療群で6.2%(27例)で、いずれも有意差はみられなかった(p=0.52、0.83)。ただし、無症候性頭蓋内出血は、t-PA単独群で18.9%(42例)、血管内治療群で27.4%(119例)で、有意に血管内治療群で多い結果となった(p=0.01)。くも膜下出血もt-PA単独群の5.8%(12例)に対し、血管内治療群で11.5%(48例)で、血管内治療群で有意に多い結果となった(p=0.02)。そのほか、デバイス/手技による合併症は、血管内治療群で16.1%(70例)だった。
結果を報告したUniversity of Clicinnanti Neuroscience InstituteのJoseph P. Broderick氏は、Merci Retrieverなど新たなデバイスの使用が限られていたことや、大血管閉塞がCTAやMRAで確認されたものでないことなど、試験に限界があったと指摘した上で、「IMSⅢは、t-PA静注療法後に血管内治療の施行することで、mRSで測定された機能的自立においての違いを示すことはできなかったが、t-PA静注療法と同等の安全性を示すことができた」とした。

 

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