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【ASCO特別版】GEICAM2003-02 リンパ節転移陰性乳がんへのFAC+パクリタキセル併用  DFS有意に延長も重度の有害事象増加

公開日時 2012/06/11 05:00

リンパ節転移陰性の高リスク乳がん患者に対する術後補助(アジュバント)療法で、アンスラサイクリン系レジメンFACにパクリタキセルを加えると、無病生存率(DFS)がわずかだが有意に上昇することが分かった。一方で、重度の有害事象が増えることも分かった。無作為化臨床第3相試験GEICAM 2003-02の結果をInstituto de Investigacion Sanitaria Gregono MarafionのMiguel Martin氏が報告する中で明らかにした。6月1~5日まで米国・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で、6月5日に開かれたOral Abstract Sessionで報告された。


手術可能リンパ節転移陽性乳がん患者の治療に際し、FAC後にパクリタキセル週1回投与を追加することで、予後が改善することが報告されている。最近では、多くの患者がリンパ節転移陰性で診断されるが、この患者集団での同レジメンの効果と安全性は検証されていなかった。


試験では、リンパ節転移陰性の高リスク乳がん患者を対象に、FAC+パクリタキセルの有効性と安全性を検討した。


主な登録基準は、▽18~70歳の女性▽手術可能乳癌T1-T3/N0▽乳房摘出術または乳房温存術を受けてマージン陰性▽St.Gallen1998分類のリスク因子(腫瘍サイズ≧2cm、ホルモン受容体陰性、グレード2/3、年齢<35歳)を少なくとも1つ有する▽心機能正常(LVEF正常)▽肝、腎、骨髄機能正常▽HER2陰性――とした。なお、HER2については、NSABP B31試験でHER2陽性乳がんにおけるトラスツズマブの有用性が報告されて以降、プロトコールが変更された。


主要評価項目は、無病生存期間(DFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、毒性、QOL、パクリタキセルの効果予測バイオマーカー。登録期間は、2003年9月~2008年10月。追跡期間は63.3カ月。


登録された1925例を①FAC群974例②FAC→パクリタキセル群951例――に、1対1で無作に割り付けた。FAC群はFAC(フルオロウラシル500mg//ドキソルビシン50mg/m2/シクロホスファミドmg/m2、3週毎投与)を6サイクル行った。一方、FAC→パクリタキセル群は、FACを4サイクル行ったのち、パクリタキセル100mg/m2週1回投与を8サイクル行うアジュバント療法を行った。


患者背景は、両群間で大きな差はみられず、他のアジュバント療法として、2/3の患者が放射線療法かつ/またはホルモン療法を受けていた。また、ホルモン受容体陽性が2/3、HER2陽性が10%を占めた。


コンプライアンスは良好で、FAC完遂がFAC群で96.7%(942例)、FAC→パクリタキセル群で97.7%(929例)で、用量強度はFAC群で97.3/98.0/98.0、FAC→パクリタキセル群で、98.7/98.8/98.8 (%)だった。パクリタキセル投与完遂は84.5%(803例)で、用量強度は98.0%だった。


◎FAC→パクリタキセル群で感染症 FACでは晩期心毒性の懸念も


追跡期間63.3カ月点で、DFSイベントの発生はFAC群で100、FAC→パクリタキセル群では73で、ハザード比が0.733(95%CI:0.543-0.992)と、FAC→パクリタキセル群で有意に良好だった(p=0.0441)。


FAC群では、FAC→パクリタキセル群に比べ、乳がん再発(68例6.8%対50例5.3%)と非乳がん死(11例1.1%対2例0.2%)が多く、非乳がん死は主に心臓死だった。


DFSに対する効果は、閉経の状態、ホルモン受容体の状態、HER2の状態に関わらず、一貫していた。


OSイベント発生は、FAC群で41例、FAC→パクリタキセル群で31例で、ハザード比0.766(0.481-1.222)で有意差はみられなかった(p=0.2636)。


一方、有害事象は、グレード3/4の血液毒性は、両群でおおむね同様だった。


ただし、感染症が、FAC→パクリタキセル群2.54%に対し、FAC群では0.62%で、有意に多かった(p=0.00021)。特に、パクリタキセル投与中に発生が増加していることも示され、Martin氏はパクリタキセル投与中のステロイド投与の影響を示唆した。


グレード3/4の非血液毒性では、生理不順(10.56%対15.9%、p=0.00042)、疲労(3.4%対7.93%、p<0.00001)、感覚神経障害(0.0%対5.39%、p<0.00001)がFAC→パクリタキセル群で有意に多かった。


グレード3/4の心毒性は、治療期間中は差がみられなかったが、追跡期間中にFAC群3例が心虚血/心筋梗塞によって、2例が不整脈によって死亡した。


Martin氏は、「DFSはFAC→パクリタキセルで有意に改善したが、グレード3/4の有害事象がFACよりも高頻度だった。一方FACでは、晩期合併症(投与終了後、時間を経過して発生)の心毒性が懸念された。この患者集団におけるパクリタキセルの効果予測因子が必要だ」と述べた。

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