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【ASCO特別版】MET阻害剤・tivantinib  P2で肝細胞がん患者のTTPを有意に延長 

公開日時 2012/06/04 05:00

ソラフェニブによる全身療法での治療に失敗した、肝細胞がん患者に経口選択的MET阻害剤・tivantinib(ARQ197)の投与により、プラセボ群に比べ、無増悪生存期間(TTP)の有意な延長がみられることが分かった。全生存期間(OS)の延長はみられなかったが、MET高発現の患者では、有意なOSの延長もみられた。MET阻害剤で、OSの延長がみられ、治療反応性を示すサブグループが特定できたのは初めて。6月1日に米国シカゴで開幕した米国臨床腫瘍学会(ASCO2012)で6月2日、L.Rimassa氏が同剤の国際共同臨床第2相試験の結果を報告する中で、明らかにした。


肝細胞がんは、全世界で年間75万人新規患者が発症されると言われ、発生率が5番目に多く、死亡率もがんに起因した死亡としては3番目に多いことが知られている。一方で、切除不能な幹細胞がんに対する、全身療法の治療選択肢は、現在のところソラフェニブしかなく、さらなる治療法の確立が求められていた。


MET阻害剤は、肝細胞増殖因子(HGF)のチロシンキナーゼ受容体への結合をATP非拮抗的に阻害する薬剤。HGF-Met経路は、血管新生、細胞増殖のシグナル伝達にかかわり、同剤はこのシグナル伝達を阻害することで、抗悪性腫瘍効果を発現する。ATP受容体に直接作用するのではなく、ATPに非拮抗的に阻害することで、副作用の低減も期待されている。


試験の対象は、▽肝障害度を表すChild Pugh分類でA▽3週間以上前に、全身療法を1ライン実施▽ECOG PSが0~1――などを満たす局所進行性・転移性肝細胞がん患者107例。登録期間は、2009年10月~11年8月までで、イタリア、ベルギー、ドイツ、アメリカ、カナダの5カ国で実施された。


tivantinib群71例(240mg1日2回:33例、360mg1日2回:38例)と、プラセボ群36例――に分け、治療効果を比較した。プラセボ群のうち、PD(進行)となった症例は、その後tivantinib群へとクロスオーバーした(23例)。主要評価項目は、TTP。2011年10月21日にデータのカットオフを行った。


その結果、主要評価項目のITT(Intention To Treat)集団を対象にしたTTP(中央値)は、プラセボ群の6.0週間に対し、tivantinib群で6.9週間で、tivantinib群で有意に56%延長した(ハザード比:0.64、90%CI:0.43-0.94、p=0.04)。PR(部分奏功)は、240mg1日2回群では1例だった。病勢コントロール率(disease control rate)は、プラセボ群の31%(16-48)に対し、tibantiniv群では44%(32-56)だった。


クロスオーバーした23例は、不変(SD)が11例、進行(PD)が8例で、残る4例は評価不能だった。副次評価項目の全生存期間(OS)は、プラセボ群の6.2カ月に対し、tivantinib群は6.6カ月で有意差はみられなかった(ハザード比:0.90[0.57-1.40]、p=0.63)。tivantinib群を高用量、低用量に分け、内訳をみても、プラセボ群との間に有意差はみられなかった(低用量 vsプラセボ:0.71[95%CI:0.44-1.25]、p=0.24、高用量 vs プラセボ:1.00[0.78-1.27]、p=0.98)。


免疫組織化学染色法(ICH)を用いて、MET高発現、低発現に分けて検討したところ、OSは、MET高発現では3.8カ月だったのに対し、MET低発現では9.0カ月で、MET低発現で有意に延長した(ハザード比:2.94[1.16-7.43]、p=0.02)。


MET高発現の患者37例では、TTPがプラセボ群(15例)で6.1週間だったのに対し、tivantinib群(22例)では11.7週間で(ハザード比:0.43[0.19-0.97]、p=0.03)、tivantinib群で133%有意なTTPの延長がみられた。また、OSもプラセボ群の3.8カ月に対し、tivantinib群では7.2カ月で、tivantinib群では163%有意な延長がみられた(ハザード比:0.38[0.18-0.81]、p=0.01)。


一方で、MET低発現の患者29例では、TTP、OSともにプラセボ群との間に有意な延長はみられなかった(p=0.92、0.50)。


有害事象としては、好中球減少症で、Grade3~5がtivantinib低用量群で6例、高用量群で21例報告された。


これらの結果から、Rimassa氏は、「METの発現が、肝細胞がん治療のセカンドラインでの予後不良因子となる」可能性を指摘した。また、高用量から低用量への減量することで、予測でき、管理可能な安全性プロファイルが明らかになったとした。一方で、有効性については高用量、低用量ともに認めたと指摘した。
なお、同剤の欧米での開発は、ARQULE社と第一三共が共同開発、商業化の契約を締結しており、同試験の結果を受け、MET高発現の患者を対象にした臨床第3相試験が現在計画中という。
 

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