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臨床研究コーディネイター(CRC)への道の最高の教科書

公開日時 2014/03/14 00:00

イーピーエス株式会社
榎戸 誠

 

【医薬品業界の職種】

医薬品業界の職種には、CRA(Clinical Research Associate、モニター)、CRC(Clinical Research Coordinator、臨床研究コーディネイター)、MR(Medical Representative、医薬情報担当者)、MSL(Medical Science Liaison、臨床研究サポーティング・スペシャリスト)などがあるが、CRCを理解するには、『CRCテキストブック(第3版)』(日本臨床薬理学会編、医学書院)が最適である。

 

【CRC】

CRCは、新GCP(Good Clinical Practice、医薬品の臨床試験の実施の基準)が完全実施となった1998年以降、我が国に誕生した新しい職種である。当初は「治験コーディネイター」と言い習わされてきたが、その守備範囲が治験の枠を超えて臨床試験を含む臨床研究全般に亘っていることから、「臨床研究コーディネイター」という表現がより適切である。

「医薬品が人類の健康に真に貢献できるようにEvidence-Based Medicine(EBM)を実践するためには、その有効性と安全性を確認することを目的とした臨床試験に裏づけたられた信頼できるエビデンスが必要となる。医薬品が規制当局(厚生労働省)の承認を得て患者の手元に届くまでの段階である治験は『創薬』であり、市販後により良き使い方や真の価値を明らかにする臨床試験や調査・研究の段階は『育薬』である。つまりCRCは、主として創薬と育薬を支援するスタッフなのであり、今後そうなるように成長していってほしいと思う」と、責任編集者代表の中野重行が述べている。

CRCは、製薬企業、SMO(Site Management Organization、治験施設支援機関)、医療機関のいずれかに所属するが、「CRCが特に治験を支援して治験コーディネーターとして働くときには、次の4つの役割を果たすことが期待されている。治験依頼者、治験責任(分担)医師および被験者として参加する創薬ボランティアの3者から成る臨床試験の基本三角形(ゴールデン・トライアングル!)の間に入って、①創薬ボランティアのケア、②治験責任(分担)医師の支援、③治験依頼者側との対応(モニタリングと監査への協力)、④全体のコーディネーションである。この4つの役割を果たすためには、CRCの役割に関する十分な知識(Knowledge)、それを実現するための技術(Skills)、および人間を対象にした研究の遂行に必要な優しさ・柔軟さと科学を実践する際の厳密さを大切にする態度(Attitude)が求められている」。

 

【認定CRC試験】

CRCとして活動するには、日本臨床薬理学会の認定CRC試験に合格しなければならないが、2014年以降の認定CRC試験の主として知識レヴェルの問題は、この第3版をもとにして出題されることになっている。

 

【役割と業務】

本書は、「医薬品の開発と臨床試験」「臨床試験・治験の基盤整備と実施」「薬物治療・臨床試験に必要な薬理作用と薬物動態のポイント」「小児・高齢者および病態時の臨床試験の留意点」といった章で構成されているが、特に、「CRCの役割と業務」の章と、巻末の「CRCに必要な英語の知識」は、実践的に記載されているので、CRCを目指す人、CRCとしてレヴェルを向上させたいと願っている人にとっては大いに役立つことだろう。

巻末の「日本臨床薬理学会認定CRC試験について」と「認定CRC試験の例題と評価のポイント」は、受験者にとっては心強い手引きとなるに違いない。

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