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あなたは消耗型リーダーか、それとも増幅型リーダーか

公開日時 2015/08/18 05:00

情熱的読書人間
榎戸 誠

【実地調査】

頭脳明晰なリーダーに率いられた組織と、能力は平均的だがモチヴェーションが高いメンバーが揃っている組織とでは、どちらが高い実績を上げることができるか。このテーマに世界の管理職150人の実地調査・分析という手法で取り組み、「消耗型リーダー」と「増幅型リーダー」という対照的な存在を炙り出したのが、『メンバーの才能を開花させる技法』(リズ・ワイズマン、グレッグ・マキューン著、関美和訳、海と月社)である。

 

 

【リーダーの二類型】

「世の中には、メンバーをより優秀に、より賢くするリーダーがいる。彼らはメンバーの能力を見事に引き出す。私たちはそんなリーダーを、『増幅型リーダー』と呼ぶ。・・・彼らは、組織のなかに集合的な知識を築きあげる。反対に、組織のなかの大切な知性と能力を破壊するリーダーは、『消耗型リーダー』だ。・・・ひとりは太陽のような増幅型リーダーで、もうひとりは北風のような消耗型リーダーだ」。

「リーダーにとって大切なのは、自分がなにを知っているかではない。メンバーの知識をどれだけ活用できるかだ。チームメンバーがどれだけ賢いかではなく、その能力をどれだけ引き出し、使えるかに着目することだ」。

 

 

【増幅型リーダー効果】

「増幅型リーダーは天才をつくり出す。このリーダーの周りでは、誰もが優秀になる。従来の意味での天才にはならなくても、メンバー一人ひとりの知性が引き出されることで、天才であるかのような雰囲気が出来上がり、イノベーションや生産的な努力や集合知が生まれてくる。・・・じつは増幅型リーダーは、与えた以上の見返りを受け取っていることもわかった」。ゼロから新規事業のCSOを立ち上げ、倍々ゲームで企業を成長させた経験から、この「雰囲気」こそが最重要ポイントだと実感している。雰囲気がメンバーを様変わりさせることを何度も目の当たりにしたからだ。当時の仲間たちとの連帯感、ワクワク感は私の宝物として胸にしまってある。

 

 

【5つの習慣】

増幅型リーダーが行っている習慣とは何か。①人々を惹きつけ、最大限に活用する、②自由でありながら、緊張感のある環境を作る、③大いに挑戦させる、④議論を通じて決断する、⑤オーナーシップと責任を植えつける――の5つである。

 

 

【才能のマグネット】

増幅型リーダーの第1の習慣「才能のマグネット」による引き寄せの好循環は、このように回転していく。①一流のメンバーが十分に活用され成長する→②超一流のメンバーと認識される→③市場価値が上がるとチャンスを与えられる→④「成長の場」という評判が立つと一流のメンバーを惹きつける→①――という循環である。

 

 

【解放者】

第2の習慣「解放者」については、スピルバーグのやり方が参考になる。「映画監督のスティーブン・スピルバーグを知らない人はいないだろう。では、彼の映画はなぜ、1本平均1億5600万ドルの収入をあげるほど人気があるのかを知っている人は? それは彼の天才的な創造性とストーリーテリングの力のおかげだ、と言う人もいる。勤勉さのおかげという人もいる。しかし、決定的な要因は、彼が他の監督よりも現場クルーから力を引き出しているからだ。実際、スピルバーグの映画に関わったスタッフはみな、『彼の周りにいると最高の仕事ができる』と口をそろえる。では、スピルバーグはなぜ、人々から最高の能力を引き出せるのか? 理由のひとつは、一人ひとりがなにをできるかを彼がよく知っているからだ。スピルバーグはスタッフの仕事にいちいち口をはさまない。代わりに、どのスタッフにも、君の実力を素晴らしいと思うからこそ雇ったのだと伝える。そして、最高の成果を求めるのだ」。

「●ソフトな意見=考えてほしい考え方やアイデア、●ハードな意見=明確で断固とした意見。このように分けることで、ソフトな意見にはメンバーが気兼ねなく反対でき、自分たちの考えを確立していく雰囲気を作ることができる。とはいえ、ときには『ハードな意見』を述べるのも大切だ」。

 

 

【挑戦者】

第3の習慣「挑戦者」に関して、「(メンバーに)答えを与えるのがリーダーの仕事だと思い込んでいると、組織に『全能の神からの指示待ち』という負の循環が生まれてしまう。・・・(増幅型)リーダーは、自分がすべてに答える必要はないとわかっている。そのため、より大きく、大胆で、興味深い問いを自由に発することができる。彼らは、自分の知らないことを追いかける」。

増幅型リーダーが挑戦者として実践していることは何か。①チャンスの種を蒔く、②挑戦を掲げる、③自信を植えつける――の3つである。「増幅型リーダーは、人間は挑戦を通じて成長すると知っている。能力は、引き伸ばされ、試されることで育つ。増幅型リーダーは、方向性がはっきりと見えていても、答えを与えない。与えるのは十分な情報だ。それをもとに考えさせ、チャンスを発見させる。・・・増幅型リーダーはチャンスを逃さない。『最高の仕事とは、問題に対応することではなく、チャンスに対応すること』だ。増幅型リーダーは、問題を分析すると同時に、難問から生まれるチャンスを示す」。私の経験からも、ピンチはチャンスであり、これはチャンスだと見極めたときは、持てる全ての資源を投入して勝負に出る勇気が必要なのだ。チャンスはそうそうあるものではなく、チャンスの女神には後ろ髪がないのだから。

「チャンスの種が蒔かれ、知的なエネルギーが生まれたら、増幅型リーダーは次に、組織の限界を超えるような挑戦を掲げる。消耗型リーダーは自分の知識とメンバーの知識の間に大きな溝を作るが、増幅型リーダーはメンバーを挑戦に引き入れる空間を作り出す。限界を大きく超える目標を目にしたメンバーは、ときには戸惑いつつも、興味を惹かれる」。

「チャンスの種を蒔き、挑戦を掲げることで、メンバーは自分たちになにができるかを真剣に考えるようになる。だが、それだけではムーブメントは起こせない。増幅型リーダーはさらに、自信を植えつける。不可能を可能にさせるためだ。人は、自信を持てば限界の向こう側を見て理解する。それだけではない。実際に限界を超えようとしはじめる」。

「リーダーは、ときとして多くの問題に一度に対処したい誘惑に駆られる。だが、増幅型リーダーは小さな勝利を重ねながら、より大きな挑戦への自信を植えつけていく」。そのとおり、小さな成功体験を積み重ねていくことによって、個々のメンバーが自信をつけ、延いては組織としての自信に繋がっていくのだ。

 

 
【増幅型リーダーへの変身】

消耗型リーダーの性質を持つ人物が、増幅型リーダーに変身できるものなのか。変身するには、次の段階を経なければならない。①増幅型リーダーに共感する、②自分の中の消耗型リーダーに気づく、③増幅型リーダーになることを決意する――の3段階である。この際、思い切って、変身に挑戦しようではないか。

 

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