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抗認知症薬の少量投与容認を 医師ら団体設立 添付文書改訂など目指す

公開日時 2015/11/25 03:50

患者個々の状態に合った形で抗認知症薬を使うには、承認用量では認められていない少量投与が容認される必要があるとして、医師らが設立した「抗認知症薬の適量処方を実現する会」(代表理事:長尾和宏氏・長尾クリニック院長)は11月23日、初めての総会を都内で開き、明年9月ごろの厚労省への提言を目指して活動を始めた。増量により症状が悪化したケースを実態調査し、「副作用」として報告するなどし、少量投与が容認されるよう添付文書の改訂を求めていく。また、医療上の必要性がある少量投与に対しては、レセプト審査で減額査定しないよう全国的に審査基準を統一する必要性も指摘している。

会によると、承認用量どおりに使用すると、患者によっては、怒りっぽくなったり、歩行障害が出たりする。その場合、会の医師ら側は、承認上は有効用量ではない少量投与を続けることで症状は改善するとしている。しかし、承認されている抗認知症薬の添付文書では、少量投与は副作用の発現を抑える一時的なものと位置付けている。そのため、少量投与を続けることは事実上できないという。

例えばアリセプトでは、「症状により適宜増減する」とあるが、「(最低投与量)3mg/日投与は有効用量ではなく(中略)原則として1~2週間を超えて使用しないこと」と記述。これを会側は「増量強制」だとして問題視、撤廃を求めていく。

怒りっぽさについては添付文書では、易怒性、攻撃性などの表現で副作用として記述され、発現率は1%未満または頻度不明とされているが、会の医師らの実感としては「決して稀ではない」としている。怒りっぽさは主作用との指摘もあるが、会側は、家族ら介護者に大変な負担になっている現状から「副作用」と見ている。

長尾代表理事は、総会のあいさつで「(患者が)興奮して暴れるのは、(薬が)効いていないからだとして増量して、もっとひどいことになるケースが多々ある。(家族は)大変なことになり、国家の活力にも影響してくる。この薬を悪いと言っているのではない。その人に適した量を使えば良いもの(薬剤)。しかし、事実上の増量規定があり、それができない。それをできるようにしようということ」と、会の設立目的を説明。増量のリスクと少量投与の必要性については医療者にも実態が知られていないとして、医師らへの広報・啓発にも取り組む方針だ。

なお、この日は来賓として厚労省の三浦公嗣老健局長が出席し、祝辞を述べた。


会の役員は以下のとおり。

名誉会長:山東昭子・参議院議員 (写真右)
代表理事:長尾和宏・長尾クリニック院長 (写真中央)
理事:河野和彦 ・名古屋フォレストクリニック院長 (写真左)
理事:白土綾佳・笠間市立病院医師 
理事:村瀬仁章 ・株式会社グロービア代表取締役 
監事:久保原和也・弁護士 
顧問:堀智勝・新百合丘総合病院名誉会長 
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