【World Topics】ジャガイモで高血圧体質、飽和脂肪で乳がん体質
公開日時 2016/06/06 03:50
米国ではダイエットと疾病の相関を問う研究が盛んである。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
ジャガイモを頻繁に食べる人は高血圧になりやすい?ボストンのBrigham and Women’s Hospitalの医師Dr. Lea Borgi等が 男女合わせて18万7453人を25年間にわたって質問紙によってフォローした観察研究の結果を発表。体脂肪率、運動量、喫煙率などの条件をコントロールして解析した結果、月に1回程度しかジャガイモを食べない人に比べて、ジャガイモをベイクドポテト、茹でジャガイモ、あるいはマッシュポテトにして週に4−6回食べる人では 11%、フライドポテトを週に4−6回食べる人では17%、高血圧リスクが高くなることがわかった。
研究者はジャガイモが血糖値を急上昇させることが血管内に炎症や問題を起こしやすくし、これが結果的に高血圧のリスクを上げるのだろうと説明している。一般に「付け合わせにジャガイモを食べる食事」のメインコースが何であるか、あるいはフライドポテトを週に4−6回食べる食生活がどのようなものであるか、 には言及していない。
飽和脂肪の摂取量と乳腺濃度の高さ( breast density)との関係を指摘したのはメリーランド大学医学部の Dr. Joanne E. Dorganだ。研究開始時点で10歳から17歳の女性177人を10年間追跡し、食事に関する質問紙調査とMRIを用いた乳腺濃度の測定を実施した研究により、飽和脂肪をより多く摂取すると乳腺濃度が高くなることを実証。米国では乳腺濃度の高い女性は 乳がんを発症しやすいと考えられている。
Dr. Dorganは「研究は単に飽和脂肪と乳腺濃度の関係を実証しただけで、飽和脂肪の摂取が乳がんの発症リスクと関連するかどうかは、まだ今後の研究によって明らかにされねばならない課題であるが」と前置きしつつ、「乳腺濃度の高い女性が乳がんを発症しやすいことはすでに定説になっている」 と語り、飽和脂肪の摂取がリスクファクターであることを示唆した。
【訂 正】
下線部の表記に誤りがありました。訂正します。(6月8日16時40分)