ノボ 取引卸を削減へ 薬価制度改革など市場環境悪化で物流にメス 他の外資に波及の可能性も
公開日時 2019/01/16 03:50
ノボ ノルディスクファーマ日本法人は1月15日、薬価制度改革などによる市場環境の悪化が予想されることを受けた事業全体の見直しの一環で、取引卸を減らすことを決め、その計画を進めていること明らかにした。日本での研究開発、製品の製造販売を持続的に行うため、物流領域にもメスを入れ、物流コストの圧縮など物流の効率化を図る。この取り組みの影響について製薬企業の流通担当者からは、日本の事業環境が厳しい見通しにある中で、特に外資系メーカーでは同様の取り組みの検討指示がグローバル本社から出る可能性があるとの指摘が出ている。
ノボは現在、広域4大卸、地域卸と広く取引をしている。ノボの広報担当者は、取引卸を減らす計画について「一部卸企業と相談している段階」と話した。取引中止対象の卸会社名や中止予定時期は明らかにしなかった。
ノボ以外の複数の製薬企業関係者によると、今回の計画による取引中止対象卸は、メディセオ(東京都中央区)、エバルス(広島県広島市、岡山県岡山市)、アトル(福岡県福岡市)のメディパルグループの3社のほか、モロオ(北海道札幌市)、岩渕薬品(千葉県四街道市)、鍋林(長野県松本市)、中北薬品(愛知県名古屋市)、ケーエスケー(大阪府大阪市)の計8社。取引中止は4月が予定され、今月から卸関係者への説明が本格化するとみられる。
また、製薬企業関係者には、取引卸を絞ることで、処方を減らさずにコストを減らせるうえ、価格の安定化が見込めるとの見方がある。しかし、この8社を対象にした理由が読めないことから、卸関係者からは将来的にさらに取引卸が削減されるのではないかとの懸念が出ているという。
ノボの広報担当者は、取引卸を減らす計画の実施理由について「薬価制度改革などで事業環境の悪化が予想される中で、トップシェアを持つインスリン製剤や成長ホルモン製剤などを継続的に供給していくため、全体的なビジネスプロセスを見直す中で、物流経費の圧縮など物流効率化を図ることになった」と説明している。