ノボ ノルディスクファーマ 愛知県春日井市と肥満症対策の包括連携協定を締結 特定健診で受診勧奨
公開日時 2024/10/29 04:49
ノボ ノルディスクファーマは10月23日、愛知県春日井市と「肥満症対策を通じた健康寿命延伸に向けた取り組みに関する包括連携協定」を締結した。包括連携協定の締結により、春日井市における肥満症の対策、地域の健康寿命延伸を図る。人間ドッグや特定健診の結果で肥満症の一定基準を満たす対象者に専門医療機関への受診勧奨を行うほか、疾患啓発を行うことで、疾患に対する正しい知識の普及につなげたい考え。同社によると、肥満症の受診勧奨を行う仕組みとして初のモデルケースという。24年11月からパイロット事業を開始する予定で、25年4月から本格的な事業開始を目指す。
協定締結に至った背景として、春日井市で肥満症やメタボリックシンドロームの該当者割合が増えていることがある。春日井市の石黒直樹市長は、肥満症から深刻な慢性疾患を発症するメタボリックドミノが存在するとして、「市民の健康を守るために、健康寿命と平均寿命との差を縮めることが大切だ」と強調。ノボの疾患啓発などの「知見を活用させていただきたい」と語った。
◎本事業では春日井市医師会と連携して肥満を未然に防ぐ取組みも
11月からのスタートを予定するパイロット事業では、春日井市の総合保健医療センターで人間ドックなどの健診を受け、BMIが35以上で高血圧などの疾患を有するなど、高度肥満の疑いのある人に対し、医師から専門医療機関の受診勧奨を行う。対象者にはアンケートを行い、生活習慣の改善や治療などへの動機付けに効果的な疾患啓発の方法なども探り、25年4月から開始を予定する本事業につなげたい考え。
本事業では、パイロット事業の継続に加え、BMI25以上35未満の人に対しての介入も春日井市医師会と協力して行う。保健指導を行い、肥満症を未然に防ぐとともに、必要に応じて専門医療機関に受診勧奨を行うという。石黒市長は、「春日市医師会とともに春日市全体の取り組みとして進めていきたい」と強調した。
石黒市長は、「市民に対する肥満症に関する啓発を行うことで、疾患に対する正しい知識を普及させ、健康意識を向上させる。また、肥満症に起因する深刻な慢性疾患を予防し、市民の健康づくりを推進する。これが市民の健康を守ることにつながる」と意義を強調した。
◎ノボ・マイルヴァン社長 好事例の全国普及に意欲 「官民パートナーシップ」強調
連携協定を結んだノボノルディスクファーマは同社の有する疾患啓発の知見などを活用し、春日井市とともに地域の住民、医療従事者に対する肥満症啓発に取り組む。同社のキャスパーブッカマイルヴァン代表取締役社長は、肥満症や2型糖尿病の有病率の高さを指摘したうえで、克服に向けて「官民パートナーシップ」の必要性を強調。「疾患啓発活動にはしっかりした土台が必要で、結果的に市民の健康寿命延伸につながるのではないか」と期待感を示した。さらに、「今後そういった介入を日本全体で行う、日本における肥満症に全員で対応する動きになればいいと願っている」と述べ、春日井市のモデルを好事例として、全国に普及させることにも意欲をみせた。