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流通・マーケ変革の起爆剤「RFID」 大手卸は特殊薬流通管理に活用へ

公開日時 2019/04/05 03:51

医薬品などの流通管理に、製品情報を記録したRFID(電子タグ)を活用する動きが本格化してきた。メディパルホールディング(HD)とアルフレッサHD、地域卸を持つ3社が設立したリードスペシャリティーズは3月に相次いで、スペシャリティ薬などの特殊薬領域の流通管理に活用を検討すると発表。それに先立って2月には、東京都内のドラッグストアで、店舗内業務、在庫管理に活用する実証実験が行われた。RFIDを個々の製品に貼付することで、流通過程のどこに、いつ、どの製品が、どの程度流通・在庫があり、販売されているのかを追跡、可視化できる。並行してデータも蓄積される。得られたデータは、より精緻な生産、在庫、物流の効率化、マーケティング、販売促進への応用を可能にし、流通・マーケティングを変える起爆剤となる可能性を秘める。(酒田 浩)

部分活用からサプライチェーン全体での活用へ

RFIDにはメモリが内蔵されており、その電子情報を読み取る仕組み。バーコードは1品ごとのコードを機器で読み取るため手間も時間もかかるが、RFIDは、箱に入っている製品、棚に並ぶ製品に、リーダー機器をかざせば瞬時に一括して情報を読み取れるのが大きな特徴だ。温度管理、開封や真贋を判別する高機能型も開発されている。

これまでもRFIDは、医薬品卸の一部物流センターで業務効率や出荷精度向上を主な目的に活用されている。医療機関内の物品管理に用い、効果を上げているケースもある。このようなサプライチェーンの一部での活用ではなく、全体の一気通貫で活用する機運が高まってきた点が、これまでと異なる点であり、流通・マーケティングへの変革につながる要素といえる。

主要医薬品卸3社が活用表明 患者投与まで管理

今回、特殊薬領域での活用を表明した医薬品卸のメディパルHD、アルフレッサHD、リードスペシャリティ3社は、患者の投与までを管理範囲とした。メディパルとアルフレッサの両社は、製薬企業の出荷から一気通貫の管理体制の構築を目指す。背景には、製品品質管理を厳格に求めるGDPの国内導入のほか、冷蔵などの高精度な温度管理が必要なバイオ医薬品の市場拡大が20年度以降に見込まれ、その需要を取り込む狙いがある。

患者投与までを管理範囲とするのも、高額な希少疾病薬や、患者由来の自家細胞医療製品は、いつ誰が、この製品を使うのかといった患者個別レベルの情報管理が必須となるからだ。ITシステムのCACは2月、医療用薬のトレーサビリティサービスを開始し、製薬企業への営業活動を始めた。RFIDの活用も可能だ。

サプライチェーンデータが変革のカギ

この一気通貫管理は、物流と情報をワンセットで得られることで、将来展開の可能性を拓く。主要卸3社は明言はしていないが、RFIDから得られるデータの活用である。RFIDでは、個別製品の使用実績、在庫など流通過程をデータで可視化する。得られたデータを分析すれば、製品の生産計画、配送計画、マーケティング、販促、市場や製品の創出にも活かすことは技術的に可能である。

このサプライチェーンデータこそ、流通やマーケティングを変革するカギとなる。RFID関連システム開発を手掛ける大日本印刷のデジタルサプライチェーンビジネス推進部長を務める中野茂氏は、「入荷、検品、在庫といった店舗内の業務の効率化だけでなく、サプライチェーン全体を可視化する技術だ。メーカーの出荷、卸、販売までをデータとして把握できる。(もたらすメリットは)BtoBだけでない。BtoCが視野に入る」と、サプライチェーンを変革する技術であることを説明する。先にあげた医薬品卸の活用方針にみるように患者の使用状況までの管理が視野に入る。

ドラッグストアで実証実験 物流・業務効率化に手応え

RFID活用を推進する経済産業省は2月、東京都内のドラッグストア3店舗で実証実験を行った。実験に参加したツルハドラッグ目黒中根店(東京都目黒区)で、関東第一店舗運営部の舘昌夫部長は期待感を示した。「例えば棚卸。相応の時間と人件費がかかる。RFIDにより、それが軽減される。いずれは販売数量、在庫、期限管理といったデータをもとに自動発注も可能になる。店内のセンサーで、棚から取った商品を手に取ったお客様の性別、年齢層、時間を掴め、お買い上げされたのか棚に戻したのかも分かる(個人を特定する情報は含まれていない)。それらデータは販促物に応用できるかもしれない」。人手不足が深刻化する中、業務の劇的な効率化を可能にする。

RFIDを製造、販売、配送まで一気通貫で活用することで、新たな物流と情報が生み出される。とはいえ、実施上の課題は少なくない。RFIDの製品への貼付はメーカーの協力が必要である。タグの価格を含め実施コストの低減化。サプライチェーン上の各社で応分のコスト負担をいかにしていくか。数社の取り組みでは効果は限られる。業界あげた取り組みが必要だ。しかし、サプライチェーン上の各社へのメリットは大きい。これが実現し、流通・マーケティングが変わる時代は近づいている。

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