MSD 18年国内売上は2.5%減収 薬価改定、C肝薬影響 キイトルーダはトップ製品に
公開日時 2019/04/22 03:52
MSDは4月19日、2018年の国内売上は3497億円、2.5%減だったと発表した。抗PD-1抗体キイトルーダは非小細胞肺がん等での適応拡大などで伸長し、同社の売上トップ製品となったが、薬価改定やC型肝炎治療薬エレルサ/グラジナの競合激化やその市場縮小などでマイナス成長となった。この日、東京都内で会見したヤニー・ウェストハイゼン社長は、オンコロジー領域をさらに強化していく姿勢を示した。
同社は製品別の売上高を開示していないが、IQVIAの発表資料によると、キイトルーダの売上高は781億円。同剤が大幅伸長したほか、プライマリー領域も高脂血症治療薬ゼチーア、同剤とアトルバスタチン配合のアトーゼット、不眠症ベルソムラなどにより堅調に推移した。しかし、薬価改定や長期収載品、17年に増収に寄与したC型肝炎治療薬エレルサ/グラジナの競合激化やその市場縮小といった減収要因が業績に大きく響いた。19年の業績見通しは開示していない。
MRは1900人体制で デジタルとの融合で最適化
ウェストハイゼン社長は会見で、今後の成長に向け、毎年薬価改定やキイトルーダの再算定の可能性による影響に触れながらも「オンコロジー領域にリソースが必要。イムノオンロコジーを育てていかなければならない」とし、他領域からのシフトを含め強化する姿勢を示した。他方、プライマリー領域、長期収載品は「厳し環境になる」と述べ、リソース配分は「これから検討していくことになる」と述べた。
MR1900人体制は適正規模とした上で、オンコロジー、プライマリー領域含め医療従事者への情報活動へのデジタル技術を融合し、個々の医師に最適化した情報やサービスの提供を戦略的に進めるとした。同社長は、社内に蓄積されたデータを分析し、顧客のセグメント化を進め、個々の医療従事者に最適なチャネル、情報の選択を行う取り組みを推進していると説明した。
抗アレルギー薬デザレックスの供給再開「検討中」
同社が製造販売し、杏林製薬が販売する抗アレルギー薬デザレックス錠が、MSDが原薬保管施設の外国製造業者認定を取得していなかったため自主回収となった問題については、ウェストハイゼン社長は、「杏林製薬と一緒になって協議している。供給再開時期は検討中」と述べるにとどまった。
また、原液製造過程で所定の規格を満たせない事象が断続的に発生したために製造中止しているB型肝炎ワクチン・ヘプタバックス水性懸濁性シリンジについては「供給の再開は早くても 2020 年半ば以降」と改めて説明した。