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中外製薬・小坂CEO RWDの利活用 がんゲノム情報×実臨床データで市場をリード

公開日時 2019/05/08 03:51
中外製薬の小坂達朗代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)は本誌との単独インタビューに応じ、リアルワールドデータ(RWD)の利活用を通じ、「がんのリーディングカンパニーとして、個別化医療の発展を目指す」と意欲をみせた。そのカギを握るのが、2018年12月に承認を取得したがん遺伝子パネル検査「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」だ。同検査を通じて集積したがんゲノム情報と、実臨床データを掛け合わせることで、新薬創出につながる可能性も膨らむ。“GAFA”をはじめとしたプラットフォーマーによるデータビジネスが世界を席巻するなかで、医療界にもこの波は押し寄せようとしている。小坂CEOは、「データをコントロールすることは大事だが、独占するものではなく、オープンにすることが大事だ。データからインサイトを引き出すことがより重要だ」と強調した。

◎FoundationOne CDxがんゲノムプロファイルを推進

がん遺伝子パネル検査「Foundation One CDxがんゲノムプロファイル」は、固形がんに関連する324のがん関連遺伝子の変異状況を一括して把握できるだけでなく、抗悪性腫瘍剤のコンパニオン診断も同時に行うことができることが特徴。複数のがん種・遺伝子で、コンパニオン診断機能などを追加申請している。小坂CEOは、「遺伝子変異のレポートだけでなく、患者の遺伝子変異にどんな製品が合うか、治験中の薬剤もレポートにしてフィードバックできる」と説明する。さらに検査方法も組織生検から、侵襲性の低い患者の血液を用いたリキッドバイオプシーが主流となることも見据える。「競争があると思うので、しっかりスピードアップしてやっていきたい」と意気込みをみせる。

もう一つ重要なのが、Foundation Oneを通じて蓄積されるがんゲノム情報の利活用だ。RWDを創薬に利活用するためには、がんゲノム情報と患者の転帰を含めた実臨床データを結びつけることが必要になる。製薬協が政策提言で、RWDの利活用をめぐり、国に体制整備を求めている状況にある。

◎電子カルテ情報の収集・分析で研究開発期間の短縮やコスト低減も

ロシュは18年、電子カルテの分析を手掛ける米・フラットアイアン・ヘルスを買収した。同社は、電子カルテを通じて集積したRWDをデータベース化。米国で承認申請に活用できるレベルにまで引き上げる。小坂CEOは、「極端な話、これまでダブルブラインド(二重盲検化比較試験)で行っていた臨床試験がコントロール群の要らない時代が来る可能性がある」と話す。これにより、研究開発期間の短縮やコスト低減も期待できる。

検査データや画像データなどの実臨床データと、ゲノム情報を組み合わせることで、創薬に結び付くことも視野に入る。小坂CEOは、中期経営計画IBI21で掲げた戦略の一つ“個別化医療の高度化”の「大きな目玉」と話す。小坂CEOは、「世界レベルでデータを蓄積し、患者の治癒を目指せるような革新的新薬を生み出すことが大切」との考えを表明。データの独占には否定的な考えを示したうえで、「個別化医療は、まずはがんで進めるが、間違いなく世界中で起こる。日本もこういったことに乗り遅れてはいけない」と強調した。

◎バイオセイムへの取り組みは否定 小坂CEO

バイオシミラーやバイオセイムへの取り組む考えは明確に否定した。小坂CEOはバイオシミラーへの考えとして3つの方針を示した。ひとつは、自社製品に有意性を示すような「より良い製品に置き換えること」。具体例として濾胞性リンパ腫の適応で直接比較試験でリツキサンを上回ったガザイバを上市したほか、ハーセプチンはパージェタとの配合剤の皮下投与製剤の開発を進める。もう一つが、特許権だ。「特許権を侵害するものについては、法廷闘争も厭わない」ことも明確にした。そのほか、先発品として長期間集積してきた有効性・安全性を通じた差別化をあげた。

小坂CEOは、「新薬に特化していく。メッセージは明確だ」と述べ、開発早期に投資を集中することで、研究開発型企業としてさらなる発展を遂げる考えを示した。

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