外資製薬企業の2025年医療用医薬品売上高上位各社の決算概況を紹介する第2回目は、5位~8位のロシュ、アストラゼネカ(AZ)、メルク、ノバルティスを取り上げる。
(全4回連載、1回目は
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【5位 ロシュ】
総売上高は前年比2%増(為替の影響を除くと7%増)の633.56億スイスフラン(CHF、763.44億ドル)となり、このうち医療用医薬品の売上高は3%増(同8%増)の494.51億CHF(595.88億ドル)で5位だった。また、純利益は50%増の137.99億CHF(166.28億ドル)だった。
最主力品の多発性硬化症治療薬・オクレバスは4%増の70.10億CHF(84.47億ドル)となった。続く血友病A治療薬・ヘムライブラは6%増の47.54億CHF(57.29億ドル)、加齢黄斑変性等治療薬・バビースモは6%増の41.02億CHF(49.43億ドル)と上位3製品がいずれも伸長した。
がん領域では、乳がん等治療薬・フェスゴが40%増の24.41億CHF(29.41億ドル)、びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(DLBCL)1次治療に適応拡大したポライビーは31%増の14.70億CHF(17.71億ドル)と2製品の伸びが目立った。一方、フェスゴの置き換え対象となるパージェタは18%減の29.68億CHF(35.76億ドル)。
24年2月に米国で食物アレルギーに適応拡大したゾレアが24%増の30.75億CHF(37.05億ドル)となった。バイオ後続品(BS)が参入したアクテムラ/ロアクテムラは7%減の24.70億CHF(29.76億ドル)だった。なお、為替レートは25年の年間平均で1CHF=1.205ドルだった。
2026年の総売上高は1桁台半ばの増加率(CERベース)を見込んでいる。ゾレアにBS参入が見込まれている。
【6位 アストラゼネカ】
総売上高(医療用医薬品売上高)は9%増(為替の影響を除くと8%増)の587.39億ドルとなり、全体で6位だった。純利益は45%増の102.33億ドルだった。
がん治療薬全体の売上が17%増の236.98億ドルとなった。このうち、非小細胞肺がん治療薬・タグリッソは10%増の72.54億ドルと2桁増を継続。非小細胞肺がん周術期治療や膀胱がん周術期治療等に適応拡大した、がん免疫療法薬・イミフィンジは29%増の60.63億ドル。
血液がん領域のBTK阻害剤・カルケンスは12%増の35.18億ドル、卵巣がんや乳がん、前立腺がん等に対するPARP阻害剤・リムパーザは7%増の32.79億ドルとなった。また、エンハーツ(中国、オーストラリア、カナダ等で売上計上)は79%増の9.77億ドル、HR陽性HER2陰性乳がん治療薬・トルカプは69%増の7.28億ドルと大きく伸長した。
最主力品のSGLT2阻害剤・フォシーガの売上は10%増の84.00億ドルと2桁成長が続いた。発作性夜間ヘモグロビン尿症等の治療薬・ユルトミリスは20%増の47.18億ドルとなった。
呼吸器・免疫疾患治療薬全体の売上は10%増の81.67億ドル。気管支喘息等に対する抗IL-5受容体α抗体・ファセンラは17%増の19.81億ドル、COPDに対するICS/LABA/LAMA配合剤・ビレーズトリは23%増の11.99億ドルを売り上げた。気管支喘息等に対する抗TSLP抗体・テゼスパイア(米国以外で売上計上)は85%増の4.58億ドル。
2026年の総売上高は1桁台半ばから後半の増加率(CERベース)を見込んでいる。
【7位 メルク】
総売上高は1%増(為替の影響を除くと2%増)の650.11億ドルとなり、このうち医療用医薬品の売上高は1%増(同1%増)の581.42億ドルで7位だった。純利益は7%増の182.54億ドルだった。
最主力品のがん免疫療法薬・キイトルーダの売上は7%増の316.41億ドルとなった。同社医療用医薬品売上全体の54%を占めており、前年51%から3ポイント上昇した。キイトルーダは25年もブロックバスターランキング1位を獲得した。25年9月に米国、11月に欧州でキイトルーダの皮下注製剤(Keytruda Qlex)の承認を取得し、その売上は4000万ドルだった。
同社売上2位のHPVワクチンのガーダシル/ガーダシル9は中国での需要低下等を要因に39%減の52.33億ドルと大幅に減少した。一方、肺動脈性肺高血圧症治療薬・Winrevair/エアウィンの売上は3.44倍の14.43億ドル、21価肺炎球菌ワクチン・キャップバックスは7.82倍の7.59億ドルとなった。
英Verona社を約100億ドルで買収して獲得したCOPD維持療法に用いるPDE3・PDE4阻害剤・Ohtuvayre (エンシフェントリン)は1.78億ドル寄与。これに続き、26年1月に2件目の大型買収を完了。薬物-Fc複合体 (DFC)開発の米Cidara社を92億ドルで買収し、インフルエンザ合併症ハイリスク者のインフルエンザ予防を目的に第3相試験段階にある長時間作用型のDFC「CD388」を獲得した。
2026年の総売上高は655億ドル~670億ドルと増収を見込んでいる。
【8位 ノバルティス】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比8%増(為替の影響を除く(CER)と8%増)の545.32億ドルとなり、全体で8位だった。第4四半期(10-12月期)の売上高を見ると、慢性心不全治療薬・エンレストや免疫性血小板減少症治療薬・プロマクタへの後発品参入の影響で前年同期比1%増(1%減)と成長が鈍化し、CERベースでは減少に転じた。2026年の総売上高は1桁台前半の増加率(CERベース)を見込んでいる。25年の純利益は前年比17%増の139.67億ドルだった。
同社売上トップ製品のエンレストの売上は米国で後発品が参入した影響で1%減の77.48億ドル。地域別に見ると、米国で19%減の32.85億ドル、米国外で18%増の44.63億ドルとなっている。
がん領域では、乳がん治療薬・Kisqali(リボシクリブ)が58%増と47.83億ドル、PSMA陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん治療薬・プルヴィクトが43%増の19.94億ドルと伸びが目立つ。慢性骨髄性白血病(CML)1次治療に適応拡大したセムブリックスも87%増の12.85億ドルと大きく伸長した。
同社売上2位の乾癬治療薬・コセンティクスは9%増の66.68億ドル。このほか、多発性硬化症治療薬・ケシンプタは37%増の44.26億ドル、高コレステロール血症治療薬・レクビオは59%増の11.98億ドルとなっている。発作性夜間ヘモグロビン尿症やC3腎症等の治療薬・ファビハルタは291%増の5.05億ドル。
25年中に米Avidity Biosciences社を120億ドルで買収。遺伝性神経筋疾患を対象に後期臨床試験段階にある3つのRNA治療薬「抗体オリゴヌクレオチド複合体(AOC)」プログラム(筋強直性ジストロフィー1型(DM1)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD))を獲得した。