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新薬14製品を収載へ 武田の抗うつ薬トリンテリックス ピーク時227億円と予測

公開日時 2019/11/14 03:51
厚生労働省の中医協総会が11月13日に開かれ、新薬14製品(14成分33品目)を薬価収載することを了承した。同省は11月19日に収載する予定。

ピーク時で100億円を超えると予測したのは、武田薬品の新規の抗うつ薬トリンテリックス錠の1製品のみ。トリンテリックス錠の薬価は、10mg1錠が168.90円、20mg1錠が253.40円で、10年後のピーク時売上は227億円と見込んだ。

腎性貧血で初の経口薬となるアステラス製薬の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬エベレンゾ錠の薬価収載も了承された。薬価は20mg1錠387.40円、50mg1錠819.20円、100mg1錠1443.50円で、1日薬価は465.80円。7年後のピーク時に売上61.9億円と予測した。なお、同日の中医協総会では、次回の診療報酬改定まで(2020年3月末まで)の間、HIF-PHD阻害薬について、既存のエリスロポエチン(ESA)製剤と同様とみなし、人工腎臓の技術料に包括されるものとして取り扱うことも確認された。

収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)
エクフィナ錠50mg(サフィナミドメシル酸塩、Meiji Seika ファルマ)
薬効分類:116(抗パーキンソン剤(内用薬))
効能・効果:レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善
薬価:50mg1錠963.90円(1日薬価:963.90円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数2.5万人、販売金額76.8億円
加算なし

可逆的かつ選択的なモノアミン酸化酵素B型(MAO-B)阻害薬。中枢においてMAO-Bによるドパミン分解を抑制し、シナプス間隙のドパミン濃度を高めることにより、ドパミンの作用を補強し、パーキンソン病の症状を改善する。レボドパ含有製剤と併用して用いる。なお、Meijiが製造販売承認を保有し、エーザイが独占販売する。

トリンテリックス錠10mg、同20mg(ボルチオキセチン臭化水素酸塩、武田薬品)
薬効分類:117(精神神経用剤)
効能・効果:うつ病、うつ状態
薬価:
10mg1錠168.90円(1日薬価:168.90円)
20mg1錠253.40円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数37万人、販売金額227億円
加算:有用性加算(II)(A=5%)、新薬創出等加算(理由:加算適用品)、費用対効果評価に該当する(H1)

有用性加算(II)(A=5%):理由「セロトニン再取り込み阻害作用とセロトニン作動性作用の両方を持つ新規作用機序医薬品である。海外のガイドラインでは、認知機能障害を伴う大うつ病患者に対して、唯一最高のエビデンスレベルで推奨されており、一定の臨床的有用性があると考えられたことから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断」

各種セロトニン受容体及びセロトニントランスポーター作用を有する新規の抗うつ薬。同剤の作用機序は完全には解明されていないが、5-HT3、5-HT7、5-HT1D受容体アンタゴニスト作用、5-HT1B受容体部分アンタゴニスト作用、5-HT1A受容体アゴニスト作用及びセロトニントランスポーター阻害作用を有し、抗うつ、抗不安、うつ病に伴う認知機能障害に対する改善作用を示すと考えられている。

コララン錠2.5mg、同5mg、同7.5mg(イバブラジン塩酸塩、小野薬品)
薬効分類:219(その他の循環器用剤(内用薬))
効能・効果:洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全。ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。
薬価:
2.5mg1錠82.90円
5mg1錠145.40円
7.5mg1錠201.90円(1日薬価403.80円) 市場予測(ピーク時10年後):投与患者数5.6万人、販売金額57.5億円
加算:有用性加算(I)(A=35%)、新薬創出等加算(理由:加算適用品)、費用対効果評価に該当する(H2)

有用性加算(I)(A=35%):理由「HCNチャネルを阻害する新規作用機序医薬品であり、審査報告書において「心拍数を減少させる目的で投与する、新たな治療選択肢として臨床現場に提供する意義はある」とされている。また、臨床試験では、既存の薬物治療下でも安静時心拍数の高い患者に対して、心血管死又は心不全悪化による入院の発現割合を低減させることが確認されている。
以上を踏まえ、有用性加算(I)(A=35%)を適用することが適当と判断」

HCNチャネル遮断薬。心臓の洞結節に発現するHCN4チャネルを阻害し、心ペースメーカー電流であるIfを抑制することで心拍数を減少させる新規作用機序の医薬品。心臓の伝導性、収縮性、再分極や血圧に影響することなく、心拍数のみを減少させる作用があるという。

エベレンゾ錠20mg、同50㎎、同100mg(ロキサデュスタット、アステラス製薬)
薬効分類:399(他に分類されない代謝性医薬品(内用薬))
効能・効果:透析施行中の腎性貧血
薬価:
20mg1錠387.40円
50mg1錠819.20円
100mg1錠1443.50円(1日薬価:465.80円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数39千人、販売金額61.9億円
加算なし

低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PHD)阻害薬と呼称する新クラスの薬剤で、同剤がファーストインクラスとなる。初の経口投与の腎性貧血薬。なお、11月13日の中医協総会では、次回の診療報酬改定まで(2020年3月末まで)の間、HIF-PHD阻害薬について、既存のエリスロポエチン(ESA)製剤と同様とみなし、人工腎臓の技術料に包括されるものとして取り扱うことが確認された。

慢性腎臓病(CKD)患者では、赤血球産生を促すホルモンであるエリスロポエチンが十分に産生されないため貧血がよくみられる。HIF-PHD阻害薬は、低酸素(酸素欠乏)で生じる生理学的作用と同様に、骨髄での赤血球産生を促すことで腎性貧血に効果をもたらす。

赤血球造血刺激因子製剤での治療有無によって同剤の開始用量は異なる(未治療の場合は1回50mgで開始、切り替えの場合は1回70mgまたは100mgで開始)が、その後は週3回の経口投与で使用する。

ベネクレクスタ錠10mg、同50mg、同100mg(ベネトクラクス、アッヴィ)
薬効分類:429(その他の腫瘍用剤(内用薬)
効能・効果:再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
薬価:
10mg1錠874.60円
50mg1錠3964.50円
100mg1錠7601.10円(1日薬価:3万404.40円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数123人、販売金額14億円
加算なし

BCL-2タンパクを標的とする初の分子標的薬。慢性リンパ性白血病ではBCL-2が過剰発現してがん細胞のアポトーシスを阻害するが、同剤はその過程を回復させる。

ラスビック錠75mg(ラスクフロキサシン塩酸塩、杏林製薬)
薬効分類:624(合成抗菌剤(内用薬))
効能・効果:咽頭・喉頭炎、急性気管支炎、肺炎などの感染症
薬価:75mg1錠361.40円(1日薬価:361.40円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数536万人、販売金額97億円
加算なし

キノロン系合成抗菌薬。標的組織(肺)への優れた移行性を示すことが最大の特徴とされる。海外で承認されている国・地域はない。

フィアスプ注フレックスタッチ、同注ペンフィル、同注100単位/mL(インスリン アスパルト(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスクファーマ)
薬効分類:249(その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)(注射薬))
効能・効果:インスリン療法が適応となる糖尿病
薬価:
300単位1キット1918円(1日薬価:639円)
300単位1筒1338円
100単位1mLバイアル334円
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数66千人、販売金額32億円
加算なし

新規の超速効型インスリンアナログで、持続型インスリン製剤と併用して用いる。添加剤としてニコチン酸アミドを含むことで投与後初期の同薬の吸収が速くなり、インスリン作用の発現が同社のノボラピッドより速くなることで血糖降下作用がより速く発現すると考えられている。食直前や食事中に使用できる。

ブリニューラ脳室内注射液150mg(セルリポナーゼアルファ(遺伝子組換え)、BioMarin Pharmaceutical Japan)
薬効分類:395(酵素製剤(注射薬))
効能・効果:セロイドリポフスチン症2型
薬価:150mg5mL1瓶132万7645円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数8人、販売金額5.2億円
加算:有用性加算(II)(A=5%)、市場性加算(I)(A=10%)、新薬創出等加算(理由:希少疾病用医薬品)

有用性加算(II)(A=5%):理由「これまで有効な治療方法が存在しなかったセロイドリポフスチン症2型に対する初の薬剤であること等から、治療方法の改善が示されていると判断し、有用性加算(II)(A=5%)とすることが適当と判断」

市場性加算(I)(A=10%):理由「希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。ただし、症例数が限られて市場規模が小さいことは原価計算方式の計算の中で価格に反映されていることを踏まえて、限定的な評価とした」

セロイドリポフスチン症2型(CLN2)を対象とした初の治療薬。投与経路は中枢神経系に直接かつ広範に分布させるため、脳室内投与が選択された。

セロイドリポフスチン症(CL)は、細胞内で老廃物を分解する機能に障害が生じ、細胞内にリポフスチンという色素が蓄積する遺伝性の疾患。CLN2はCLの1病型。同剤は、同疾患に対する治療のために開発された酵素補充療法薬で、同疾患の患者に欠損しているトリペプチジルペプチダーゼという酵素を補充することで、同疾患の特徴であるリポフルスチンの蓄積を減少させる。

クリースビータ皮下注10mg、同20mg、同30mg(ブロスマブ(遺伝子組換え)、協和キリン)
薬効分類:399(他に分類されない代謝性医薬品(注射薬))
効能・効果:FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
薬価:
10mg1mL1瓶30万4818円
20mg1mL1瓶60万8282円
30mg1mL1瓶91万1812円
市場予測(ピーク時10年後:投与患者数443人、販売金額74.5億円
加算:有用性加算(I)(A=45%)、市場性加算(I)(A=10%)、新薬創出等加算(理由:希少疾病用医薬品)

有用性加算(I)(A=45%):理由「FGF23に結合し、血清リン濃度の低下作用を阻害することにより、血清無機リン濃度を維持し、骨軟化症に伴う症状の改善傾向を示した新規作用機序医薬品である。本剤の開発に当たって、小児でリン酸製剤等による既存の治療法と比較したランダム化非盲検比較試験が実施され、本剤群でくる病の重症度評価で有意な改善が認められたことから、有用性加算(I)A=45%が妥当と判断」

市場性加算(I)(A=10%):理由「希少疾病用医薬品の指定を受けていることから加算の要件を満たす。ただし、症例数が限られて市場規模が小さいことは原価計算方式の計算の中で価格に反映されていることを踏まえて、限定的な評価とした」

線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に対するヒト型IgG1モノクローナル抗体。くる病・骨軟化症に対する初の抗体製剤。同剤によってFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症患者で認められる過剰なFGF23の作用を中和することで、これらの患者における低リン血症の改善作用が期待されるという。

ポートラーザ点滴静注液800mg(ネシツムマブ(遺伝子組換え)、日本化薬)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬(注射薬))
効能・効果:切除不能な進行・再発の扁平上皮非小細胞肺がん
薬価:800mg50mL1瓶23万8706円(1日薬価:2万2734円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数724人、販売金額13.8億円
加算なし

ゲムシタビン、シスプラチンと併用する。通常、成人には1回800mgをおよそ60分かけて点滴静注する。週1回投与を2週連続行い、3週目は休薬。これを1コースとして投与を繰り返す。19年8月に日本イーライリリーから日本化薬に製造販売承認を承継した。

イスパロクト静注用500、同1000、同1500、同2000、同3000(ツロクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)、ノボノルディスク ファーマ)
薬効分類:634(血液製剤類(注射薬))
効能・効果:血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制
薬価:
500国際単位1瓶(溶解液付)6万7436円
1000国際単位1瓶(溶解液付)12万4632円
1500国際単位1瓶(溶解液付)17万8510円
2000国際単位1瓶(溶解液付)23万339円
3000国際単位1瓶(溶解液付)32万9913円
(1日薬価 6万8732円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数79人、販売金額18億円
加算なし

半減期延長型血液凝固第8因子製剤。既承認のノボエイト(ツロクトコグ アルファ)をペグ化し、半減期を延長させた。

ハルロピテープ8mg、同16mg、同24mg、同32mg、同40mg(ロピニロール塩酸塩、久光製薬)
薬効分類:116(抗パーキンソン剤(外用薬))
効能・効果:パーキンソン病
薬価:
8mg1枚404.90円
16mg1枚623.00円
24mg1枚801.50円
32mg1枚958.40円 (1日薬価:1916.80円)
40mg1枚1101.00円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数4.4万人、販売金額83億円
加算なし

久光独自の経皮薬物送達システム技術を用いて開発した全身性の経皮吸収型製剤。安定した血中薬物濃度を維持し、効果を持続させることが期待される。同剤は非麦角系ドパミンアゴニストで、レキップ錠や同CR錠と同じ成分。久光は協和キリンと国内販売契約を締結しており、販売は協和キリンが行い、両社で情報活動する。

アイベータ配合点眼液(ブリモニジン酒石酸塩・チモロールマレイン酸塩、千寿製薬)
薬効分類:131(眼科用剤(外用薬))
効能・効果:緑内障、高眼圧症(他の緑内障治療薬が効果不十分な場合)
薬価:1mL456.00円(1日薬価45.60円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数89万人、販売金額19億円
加算なし

14日の投与日数制限を受けない。α2作動薬であるブリモニジンとβ遮断薬であるチモロールはいずれも単剤では承認されている。α2作動薬とβ遮断薬を組み合わせた配合点眼薬は初めて。1回1滴、1日2回点眼で用いる。

リティンパ耳科用250μgセット(トラフェルミン(遺伝子組換え)、ノーベルファーマ)
薬効分類:132(耳鼻科用剤(外用剤))
効能・効果:鼓膜穿孔
薬価:1セット 3万2691.30円
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数8.8千人、販売金額2.9億円
加算:有用性加算(I)(A=35%)、市場性加算(II)(A=5%)、新薬創出等加算(理由:加算適用品)

有用性加算(I)(A=35%):理由「鼓膜穿孔を対象とする医薬品は薬価収載されておらず、当該効能では、本剤が新規作用機序医薬品となる。鼓膜穿孔の自然閉鎖が見込まれない患者を対象とした国内臨床試験では、鼓膜閉鎖割合が75%、聴力改善割合が100%であったことから、一定の臨床的意義はある。鼓膜穿孔に対する既存の手技では、侵襲性を伴うものがある一方、本剤による治療は薬剤を染みこませたゼラチンスポンジを留置する処置であり、患者にとって手術に伴う負担が減少し、利便性が高いものである。これらを踏まえ、有用性加算(I)(A=35%)を適用することが適当と判断」

市場性加算(II)(A=5%):理由「薬事工業生産動態統計調査では、本剤が含まれる薬効分類の市場規模は全体の0.38%であること、本剤の薬効分類には耳科のみを対象とした医薬品が少ないことから、市場性加算(II)の要件を満たすと判断」

鼓膜穿孔を対象とした初の治療薬。溶剤を浸したゼラチンスポンジを耳に詰めることで、患部を修復する。主成分のトラフェルミンは表皮形成などを促す作用をもつヒト塩基性線維芽細胞増殖因子製剤で、歯周病に用いるリグロスや、皮膚褥瘡などに用いるフィブラストスプレーの主成分でもある。

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