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新薬10成分18品目 5月21日収載へ 食道がんに対する抗PD-1抗体・テビムブラはピーク時予想406億円

公開日時 2025/05/15 04:48
中医協総会は5月14日、新薬10成分18品目の薬価収載を了承した。収載日は5月21日。BeiGene Japanの食道がんを対象疾患とする抗PD-1抗体・テビムブラ点滴静注は8年後のピーク時売上を406億円と予想した。同社は日本進出第一号製品として3月にBTK阻害薬・ブルキンザの自社販売を開始。今回のテビムブラの上市も見据え、国内体制を拡充している。

ピーク時売上が100億円以上と予想されたのは、テビムブラを含めて5製品ある。このうちブリストル・マイヤーズ スクイブの閉塞性肥大型心筋症を対象疾患とする心筋ミオシン阻害薬・カムザイオカプセルは219億円、ヤンセンファーマの潰瘍性大腸炎を対象疾患とする抗IL-23p19抗体・トレムフィア皮下注200mgは217億円――で、これら2剤はピーク時に200億円以上と予想された。なお、カムザイオは有用性加算(I)(A=45%)や市場性加算(I)(A=10%)の補正加算が付いたが、原価開示度50%未満ということで加算ゼロとなった。

アレクシオンファーマのトランスサイレチン型心アミロイドーシスを対象疾患とするトランスサイレチン(TTR)安定化薬・ビヨントラ錠は142億円、ヤンセンファーマのEGFR陽性の非小細胞肺がんを対象疾患とする第3世代経口EGFRチロシンキナーゼ阻害薬・ラズクルーズ錠は130億円になると見込まれた。

5月21日付で収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)。投与経路・薬効分類順。

カムザイオスカプセル5mg、同カプセル2.5mg、同カプセル1mg(マバカムテン、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
薬効分類219 その他の循環器官用薬(内用薬)
効能・効果:閉塞性肥大型心筋症
薬価:
1mg1カプセル 7204.00円
2.5mg1カプセル 7264.80円
5mg1カプセル 7410.50円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数7.3千人、販売金額219億円

加算:
有用性加算(I)(A=45%):「本剤は選択的心筋ミオシン阻害作用を有する新規作用機序医薬品であること、閉塞性肥大型心筋症の治療に用いられる薬剤において約13年11か月間、新規の作用機序の新薬収載がないこと、既存の治療で効果が不十分な患者群に対して有効性が期待できること等から、有用性加算(I)(A=45%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

心筋ミオシン阻害剤。肥大型心筋症(HCM)は、高血圧等の心疾患や全身性疾患などの原因がないにもかかわらず、心室(左室)肥大をきたす慢性の進行性疾患であり、左室流出路の閉塞有無により閉塞性HCMと非閉塞性HCMに大別される。カムザイオスの効能・効果は「閉塞性HCM(HOCM)」。

BMS日本法人のアンジェラ・デイビス研究開発本部長は、「慢性かつ進行性の疾患であるHOCMの患者さんとそのご家族は、長い間、新たな治療選択肢を待ち望んでいた。私たちは、今回の承認が患者さんとご家族にとってどれほど重要なマイルストーンであるかを理解している」と話している。

ビヨントラ錠400mg(アコラミジス塩酸塩、アレクシオンファーマ)
薬効分類219 その他の循環器官用薬(内用薬)
効能・効果:トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)
薬価:400mg1錠 8995.90円(1日薬価:3万5983.60円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数1.1千人、販売金額142億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

トランスサイレチン(TTR)安定化薬。承認取得を受け、アレクシオン本社のMarc Dunoyer最高経営責任者(CEO)は「ビヨントラはTTRの90%超の安定化を達成し、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)患者さんの心血管死および入院を低減し、治療成績の改善の臨床的ニーズを満たすことが示された」と話している。

ビヨントラの用法・用量は「通常、成人には1回800mgを1日2回経口投与する」。国内で承認を取得しているATTR-CM治療薬には、ビンダケルカプセル/ビンマックカプセル(タファミジス)があり、用法・用量は1日1回経口投与となっている。

リブマーリ内用液10mg/mL(マラリキシバット塩化物、武田薬品)
薬効分類:391 肝臓疾患用剤(内用薬)
効能・効果:アラジール症候群、及び進行性家族性肝内胆汁うっ滞症における胆汁うっ滞に伴うそう痒
薬価:1%30mL1瓶 388万8640.70円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数91人、販売金額73億円

加算:
有用性加算(II)(A=10%):「本剤の適応に対する既存治療の効果は限定的で、標準的治療法が確立していない重篤な疾患であり、本剤は胆汁うっ滞に伴うそう痒に対する効果が認められていることから、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=15%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす。患者数が極めて少なく開発が難しいと想定される中で、本適応症に対する治療薬として初めて承認された薬剤であること等を踏まえ、加算率は15%が妥当である」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

胆汁酸の再吸収を抑制する回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬。武田薬品は21年9月に米Mirum社から導入した。

アラジール症候群(ALGS)は、小葉間胆管減少症を伴うまれな遺伝性疾患であり、胆汁うっ滞により、最終的には進行性の肝機能障害を引き起こす。国内患者数は200~300人程度と推測されている。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、肝細胞の胆汁を分泌する能力が低下し、肝細胞内に胆汁の蓄積が起こることにより、進行性の肝疾患に至るまれな遺伝性疾患。国内では、小児慢性特定疾病の対象疾患となっている。

同剤は14日間の投与日数制限を設けないことも確認された。患者数が限られている上、ALGS・PFICに対して承認された薬剤は同剤のみ。さらに包装単位は30mL1瓶で、製剤の特性上、遮光保存であることから、小分けせずに30mL1瓶を患者に渡すこととなるが、用法・用量に従うと、ALGSの49kg以下の患者又は進PFICの19kg以下の患者では14日間で30mL1瓶を使い切ることができない。国内第3相試験において、14日間を超える投薬が行われ、承認審査で安全性が許容可能と判断されたことが理由となる。

ティブソボ錠250mg(イボシデニブ、日本セルヴィエ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病
薬価:250mg1錠 3万7.60円(1日薬価:6万15.20円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数120人、販売金額26億円

加算:
有用性加算(I)(A=35%):「本剤はIDH1阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、IDH1遺伝子変異陽性の患者を対象とした臨床試験成績から本剤の有効性が期待できること等から、有用性加算(I)(A=35%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

IDH1阻害薬。IDH1遺伝子変異陽性AMLの患者数は約1045人と推定されている。強力な化学療法の適応とならない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対しては、IDH1遺伝子変異の有無にかかわらず、ベネクレクスタとアザシチジン又は低用量シタラビンとの併用投与が推奨されているが、長期生存率は低く、依然として予後は不良であること等から、新たな治療薬の開発が望まれている。

ティブソボとアザシチジンとの併用投与の有効性及び安全性をプラセボとアザシチヂンとの併用投与と比較した国際共同第3相試験では、主要評価項目の治験責任医師判定による無イベント生存期間(EFS)について統計学的に有意な延長が認められた。

ラズクルーズ錠80mg、同錠240mg(ラゼルチニブメシル酸塩水和物、ヤンセンファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:80mg1錠 4403.30円
240mg1錠 1万2354.70円(1日薬価:1万2354.70円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数6.4千人、販売金額130億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

第3世代の経口EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)。同社のEGFRおよびMETを標的とする完全ヒト型二重特異性抗体・ライブリバントと併用して、EGFR変異陽性NSCLCの1次治療での使用が承認された。

承認申請は、EGFR変異陽性NSCLCに対する1次治療において、ライブリバントとラズクルーズの併用療法と、第3世代の経口EGFR-TKIであるタグリッソ単剤療法を比較評価した第3相MARIPOSA試験の結果に基づく。同試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)で有意差を示した。

承認取得を受け、J&J Innovative Medicine Japanの關口修平社長は、「現在、EGFR遺伝子変異を有するNSCLCの5年生存率は20%未満であり、日本においてはEGFR遺伝子変異NSCLCのうち、1次治療で十分な効果が得られなくなった際、3分の1は2次治療に進むことができない。この状況は、依然として高いアンメットニーズがあり、1次治療において新たな治療選択肢が求められていることを示している」と指摘している。

プレバイミス顆粒分包20mg、同顆粒分包120mg(レテルモビル、MSD)
薬効分類:625 抗ウイルス薬(内用薬)
効能・効果:同種造血幹細胞移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制及び臓器移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制
薬価:20mg1包 3025.60円
120mg1包 1万6.20円(1日薬価:4万24.80円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数130人、販売金額1.6億円

加算:小児加算(A=20%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。「造血幹細胞移植におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」に対する小児用量の承認を取得した初めての薬剤であること、日本人の試験組み入れ数、本邦における承認は米国と比べて大きく遅れていないこと等を踏まえ、加算率は20%が妥当である」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:該当しない

CMVターミナーゼ阻害薬。小児用量の追加に合わせて、小型の粒状のフィルムコーティング剤であり、小児でも飲みやすい顆粒剤が承認された。MSDでは、「1包あたり20mgおよび120mgの2種類の規格があることから、複数包を使用することで、体重5kg以上の小児へ体重区分に応じた用量での投与が可能となるとともに、患者さんの状況に応じた剤形選択が可能となる」としている。

トレムフィア点滴静注200mg(グセルクマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:200mg20mL1瓶 25万3045円(1日薬価:6778円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数5.9千人、販売金額45億円

トレムフィア皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgペン(グセルクマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:200mg2mL1筒 33万9733円
200mg2mL1キット 33万9733円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数6.4千人、販売金額217億円

点滴静注製剤、皮下注製剤とも
加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

抗IL-23p19抗体。既存のトレムフィア皮下注100mgシリンジは、18年3月に「尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」、同年11月に「掌蹠膿疱症」の適応で承認されている。今回、潰瘍性大腸炎(UC)の適応が追加される。点滴静注200mgは新投与経路、皮下注200mgシリンジおよび200mgペンは新剤形となる。

UCは、活動期には下痢、血便、腹痛や発熱等を伴い、寛解と再燃を繰り返す炎症性腸疾患。重症度等に応じた治療法(薬物療法、外科的治療等)が選択されている。国内では、トレムフィアと同様の抗IL-23p19抗体のオンボーが23年3月、同スキリージが24年6月にUCの承認を取得している。

テビムブラ点滴静注100mg(チスレリズマブ(遺伝子組換え)、BeiGene Japan)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:根治切除不能な進行・再発の食道がん
薬価:100mg10mL1瓶 21万4498円(1日薬価:2万428円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数5.4千人、販売金額406億円

加算:なし
新薬創出等加算:該当しない
費用対効果評価:該当しない

抗PD-1抗体。承認申請は、1次治療(化学療法併用)と2次治療(単剤療法)の試験成績に基づいて行われ、用法・用量は「フルオロウラシル及びシスプラチンとの併用において、通常、成人には、1回200mgを3週間間隔で60分かけて点滴静注する。がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がんに対しては、本剤を単独投与することもできる。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分まで短縮できる」となった。

同じ抗PD-1抗体のキイトルーダとオプジーボも「根治切除不能な進行・再発の食道がん」の効能・効果を持っている。

テブダック点滴静注用40mg(チソツマブベドチン(遺伝子組換え)、ジェンマブ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(注射薬)
効能・効果:がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸がん
薬価:40mg1瓶 25万2241円(1日薬価:3万29円)
市場予測(ピーク時2年後):投与患者数797人、販売金額35億円

加算:有用性加算(I)(A=40%):「本剤は組織因子を標的とする初めての抗体薬物複合体であり、化学療法歴のある進行又は再発の子宮頸癌患者に対して有効性が示されていること、臨床試験成績からペムブロリズマブを含む化学療法歴のある患者に対して本剤は比較薬よりも優先されること、また、子宮頸癌患者の二次治療以降の治療に対して標準的治療法として位置付けられることが見込まれることから、有用性加算(I)(A=40%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

ジェンマブの組織因子(TF)を標的とするヒトモノクローナル抗体に、プロテアーゼ切断可能なリンカーを用いて微小管阻害薬・モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を共有結合させるというシージェン社(現ファイザー)の技術を応用して開発された抗体薬物複合体(ADC)。

承認申請は、2次又は3次治療の再発又は転移性子宮頸がん患者を対象とした国際共同第3相innovaTV301試験などの成績に基づいて行われ、2次治療以降での使用が想定されている。

ジェンマブ日本法人のクリストファー・ダール社長は「新しい治療選択肢を必要としている患者さんに対し、組織因子を標的とした本邦初のADCであるテブダックを提供するための重要な一歩を踏み出せたことを大変嬉しく思う」とコメントしている。

ハイキュービア10%皮下注セット5g/50mL、同10g/100mL、同20g/200mL(pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注)/ボルヒアルロニダーゼアルファ(遺伝子組換え)、武田薬品)
薬効分類:634 血液製剤類(注射薬)
効能・効果:無又は低ガンマグロブリン血症
薬価:
1セット(5g50mL) 5万6816円
1セット(10g100mL) 11万2154円
1セット(20g200mL) 22万1382円(1日薬価:1万5813円)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数731人、販売金額22億円

加算:有用性加算(II)(A=5%):「本剤は比較薬と比べて投与頻度及び投与部位数が減少し、利便性の向上が期待できることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」

新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当しない

ボルヒアルロニダーゼを皮下投与した後、約10分以内に同じ部位へ人免疫グロブリンGを皮下投与する。これにより、人免疫グロブリンGの拡散と吸収が促進され、大量投与が可能になる。大量投与により投与頻度が従来の皮下注製剤に比べて少ない3週間に1回又は4週間に1回となり、患者の負担軽減が期待される。

武田薬品が23年9月に承認を取得、24年1月に発売した無又は低ガンマグロブリン血症治療薬・キュービトル20%皮下注(pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注))の投与頻度は、週1回(通常)又2週間に1回となっている。
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