新型コロナで医学系イベントの半数が中止 3月末開催の「STROKE2020」は8月に延期
公開日時 2020/02/26 04:53
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、医学系イベントの開催中止が相次いでいる。ミクス編集部が国内で開催される医学イベント（学会年会、総会、研究会、地方会）を調べたところ、２月25日段階で3月末までに開催する33学会中16学会が中止を決断していたことがわかった。先週末までに第84回日本循環器学会学術集会や日本薬学会第140年会（いずれも京都開催）が早々に開催中止を決めていたが、第93回日本薬理学会年会や、第45回日本脳卒中学会学術集会、第49回日本脳卒中の外科学会学術集会、第36回スパズム・シンポジウムの3学会が合同で開催する「STROKE2020」（横浜開催）も8月に延期した。一方、この期間中に17学会が予定通り開催される予定で、多くはマスク着用やアルコール消毒薬よる感染防止、さらには懇親会中止など自衛措置を講じていることも分かった。
（文末のファイルから2月末から3月1か月間の医学系イベントの開催予定がダウンロードできます）
◎STROKE2020は会期を１日短縮し、８月にパシフィコ横浜で開催
加藤厚労相が新型コロナウイルス感染症の拡大防止への対策基本方針を打ち出したことで医学系イベントの開催の可否に影響が出始めている。すでに先週21日までに3月初旬開催の第92回日本胃癌学会が開催中止を決断。3月中旬開催の第84回日本循環器学会学術集会と合同開催のAsian Pacific Society of Cardiology Congress 2020（APSC）が時期未定のまま延期を決定した。週明け25日からは、医学会のイベントの中止に踏み切る学会が相次いでいる。
先週までは3月初旬から中旬のイベント中止が相次いだが、週明けからは3月下旬開催の学会に飛び火した。3月26日～28日に横浜で開催される日本脳卒中学会など3学会合同の「STROKE2020」も開催延期を決定した。学会HPには「予見困難な情勢下ではありますが、三学会会長により開催意義や運営見通しなどの審議を重ねた」と会員向けのコメントを出し、理解を求めた。また次の開催日程については、会期（当初3日間）を1日短縮した上で、8月24日から2日間の日程で横浜（パシフィコ横浜）にて開催することを報告した。
◎日本薬学会－参加者の安全を確保できない 日本薬理学会－リスクをゼロにできない
薬学関係のイベントでは日本薬学会第140年会が早々に開催中止を決断した。中止決定に至った背景として、①接触感染や飛沫感染を完全には排除できず、参加者の安全を確保できない（マイク、レーザーポインター、クローク、PC受付、受付など）、②既に多くの製薬企業が出張の禁止や自粛の指示を出しており、今後も企業のシンポジウムや一般演題の大量キャンセル、多くのランチョンセミナーや企業展示などのキャンセルが予想され、年会開催の意義が大きく損なわれてしまう、③リスクを冒して開催し、大学、研究所、企業の方から一人でも感染者が出た場合には、濃厚接触者を含めた多くが登校や出勤をできなくなる－などをあげた。
また第93回日本薬理学会年会は、当初開催の可否を決断すると告知した2月28日を待たず、2月25日付で開催中止を決断。決断した理由として、現在既に感染経路が辿れない事例が多数発生していることや、高齢者、基礎疾患のある罹患者のみならず広い年齢層にわたって重症例が報告されていること、さらに感染症対策を徹底しても、現実には管理が徹底せず、リスクをゼロにすることはできないことを示唆する事例が報告されていることなどをあげた。
◎開催する場合も「マスク着用や消毒アルコールによる感染防止を徹底」
一方で開催を決断した医学系イベントもある。ただ、開催する場合でもマスク着用や消毒アルコールによる感染防止を徹底する動きもある。さらに発表者についても、体調不良などで出席を辞退した場合、代理の発表者を認めるなどの措置もみられる。さらにプログラム上の問題として、海外招聘講演の中止は避けられず、急きょビデオ講演に切り替えるなどの措置も見られた。さらに学会期間中に行う懇親会については、多くが自粛する動きを見せている。
なお4月開催の学会については、現時点でいずれも様子見となっている。