薬食審・第二部会 初の3成分配合喘息薬など6製品を審議 5月28日にWeb会議で
公開日時 2020/05/15 04:50
厚生労働省は5月14日、新薬6製品の承認可否の審議などを行う薬食審医薬品第二部会を28日にWeb会議で行うと発表した。ICS/LAMA/LABAの3成分を配合した気管支喘息薬エナジア吸入用カプセルなどを審議する。3成分配合のCOPD治療薬はあるが、喘息薬は初となる。当日の報告品目には国内初のヒュミラのバイオシミラー(BS)が含まれる。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽イルミア皮下注100mgシリンジ(チルドラキズマブ(遺伝子組換え)、サンファーマ):「尋常性乾癬」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
ヒト型抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤。インターロイキン-23(IL-23)p19サブユニットに選択的に結合し、IL-23受容体との相互作用を阻害することにより、炎症性サイトカイン及びケモカインの遊離を抑制するようデザインされた製剤。類薬にはヤンセンファーマが製造販売元のトレムフィア皮下注がある。
▽フルティフォーム50エアゾール56吸入用、同50エアゾール120吸入用(フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物、杏林製薬):「気管支喘息」の小児用量を追加する新用量医薬品。
吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の吸入配合薬(ICS/LABA配合薬)。
▽アテキュラ吸入用カプセル低用量、同カプセル中用量、同カプセル高用量(インダカテロール酢酸塩/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティスファーマ):「気管支喘息」を対象疾患とする新有効成分含有医薬・新医療用配合剤。
長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール酢酸塩が新有効成分となる。モメタゾンは吸入ステロイド薬(ICS)で、同剤はICS/LABA配合薬。
▽エナジア吸入用カプセル中用量、同カプセル高用量(インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル、ノバルティスファーマ):「気管支喘息」を対象疾患とする新有効成分含有医薬・新医療用配合剤。
長時間作用性β2刺激薬(LABA)のインダカテロール酢酸塩が新有効成分となる。既承認成分のグリコピロニウムは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、モメタゾンは吸入ステロイド薬(ICS)。同剤はICS/LAMA/LABAによる3成分配合吸入薬。COPD適応のICS/LAMA/LABA配合吸入薬はビレーズトリエアロスフィアとテリルジーがあるが、気管支喘息適応ではエナジアが初となる。
▽サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「多発性骨髄腫」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
CD38 受容体の特異的なエピトープを標的とするモノクローナル抗体製剤。いくつかの独特な作用機序を活性化するよう設計されており、それにより腫瘍細胞に対するプログラム細胞死(アポトーシス)を直接誘導し、免疫活性を高めると考えられている。CD38を標的とする抗体製剤にはダラザレックスがある。
▽タブレクタ錠150mg、同錠200mg(カプマチニブ塩酸塩水和物、ノバルティスファーマ):「非小細胞肺がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
経口MET阻害薬。厚労省によると、同じ作用機序の医薬品に、今年3月に承認され、5月20日付で薬価収載されるテプミトコ錠がある。
■ヒュミラ初のBS登場へ
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽ボシュリフ錠100mg(ボスチニブ水和物、ファイザー):「慢性骨髄性白血病」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。
現在は、「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」を効能・効果としているが、このうち「前治療薬に抵抗性又は不耐容の」を削除し、ファーストラインから使えるようにする。
▽アダリムマブBS皮下注40mgシリンジ0.8mL「FKB」、同BS皮下注40mgペン0.8mL「FKB」、同BS皮下注20mgシリンジ0.4mL「FKB」(アダリムマブ(遺伝子組換え)[アダリムマブ後続1]、協和キリン富士フイルムバイオロジクス):「関節リウマチ、若年性特発性関節炎、尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、強直性脊椎炎、腸管型ベーチェット病、クローン病」を対象疾患とするバイオシミラー。
先発品ヒュミラの初のバイオシミラー(BS)となる。同BSは、先発品が持つ潰瘍性大腸炎や化膿性汗腺炎などの一部の効能は含まれない。